キーボードは、単純なようで奥が深いですよね。アレコレ試しても、自分の理想のキーボードが見つからないという人も少なくはありません。
そして高級キーボードに手を出すようになる人も、多いです。
高級キーボードの中でもPFUのHHKBというキーボードは、とても人気があります。これが自分の理想のキーボードだと語る人もおり、高い評価を受けているモデルです。
今回はそんなHHKBの特徴や各モデルの違いなどについてレビューを交えながら解説していきます。
PFU HHKBのキーボードに共通する特徴とは?
PFUのHHKBにはいくつかのモデルがありますが、全モデルに共通する特徴があります。モデルごとに異なるのは細やかな部分で、大まかには以下の5つの共通する特徴を備えているんです。
静電容量無接点方式を採用している
HHKBは、静電容量無接点式のキーボードです。
静電容量無接点式というのは、簡単に言えば電気の力を使ってスイッチのオンオフを切り替える方式のことを指します。メンブレンやメカニカルと違うのは、スイッチのオンオフの切り替えに物理的な接点を必要としないことです。
メンブレンやメカニカルは、スイッチが物理的に接することでオン、離れることでオフを認識します。そのためのシステムの違いが、この二つにはあるんですが、物理的なスイッチという点では同じです。
静電容量無接点式の物理的接点を持たないという特徴は、さまざまなメリットを生じさせます。
まず、他の方式のキーボードと比べて静かだということです。
物理的な接点が無いので、その分静かになります。
さらに、打ち心地が軽いものが多いです。キーのオンオフを切り替える位置の深さにもよりますが、たいていは弱く浅くタイピングしても認識するようになっています。メンブレンのような底打ちは必要ないので、その分疲れにくいというのも良いですね。
プログラマー向けに最適化された配列
HHKBのキー配列は、少し独特です。
たとえばControlキーがAの左に配置されています。他のキーボードでは、左下と右下に配置されていますよね。
さらに、ESCキーを1の左に配置しています。通常は「半角/全角」キーがあるところです。Returnキー(エンターキー)は1段分にし、Delキーがその上に配置されています。
テンキーとファンクションキー、矢印キーはありません。60%キーボードにDelキーを加えたような感じですね。
なお、「Fn」キーを使うことで、ファンクションキーや矢印キーの機能を呼び出すことができます。
慣れるまで時間がかかりますが、これはプログラマー向けに最適化された配列だと言えるんです。
特にControlの位置が重要となります。通常の位置だとホームポジションから遠く、少し効率が下がるんです。HHKBのControlキーはホームポジションから近いところにあるので、Controlキーと他のキーとを組み合わせて使用することの多いプログラマーなどの人には嬉しい配置だと言えます。
しっかりとしたストロークの深さ
HHKBのキーボードは、キーストロークが3.8~4.0mm程度で作られています。キーストロークというのは、その名前の通り「キーを底まで打つときの深さ」のことです。数値が大きければ大きいほど、深いということになります。
静電容量無接点式のキーボードには、ストロークが短いものもあるんです。短めが好きな人もいますが、深めが好きな人も大勢います。
キーボードについてSNSで語っている人の意見等を見ると、深めのストロークを好むのは文章を書くことが多い人、プログラミングをする人などが多い傾向があるんです。
キーを打ったという感覚がハッキリしているので、安心感があります。それでいて楽しく、タイプミスもしにくいのが深めのストロークの利点です。
HHKBは、静電容量無接点のキーボードが欲しいけどストロークが浅すぎるのは合わない、という人に向いています。
小型軽量で強度も高い
HHKBは、とにかく小さく軽いキーボードです。テンキーとファンクションキーと、矢印キーがありませんから。エンターキーから右とバックスペースから上が無いとイメージすると、わかりやすいでしょう。
HHKB Professional Classicは、幅294mm、奥行き110mm、高さ40mmというサイズです。
重量はケーブルを除けば530gとなっています。メカニカルキーボードだとテンキーレスでも1kgを超えるモデルが多いです。それに比べ、これだけ軽量となると凄いですよね。
持ち運びもしやすく、安心です。
刻印の有無が選べる
ほとんどのキーボードには、キーの表面に英字など文字が刻印されていますよね。英字だけなのか、英字とひらがな両方あるのかによって好みが分かれます。
中には、そもそもブラインドタッチするんだったら刻印要らないのでは? と考える人もいるでしょう。
そんな人のために、HHKBには刻印なしのモデルが用意されています。黒白2カラーと、刻印の有無を選べるためデザインにこだわる人にもおすすめです。
PFU HHKBの評判・口コミを見てみよう
PFU HHKBの特徴を紹介してきました。ただ、ユーザーがどう感じるかが大切ですよね。何かを買うか決める前に、口コミを見て判断したいという人も少なくはないでしょう。そこで今度は、HHKBの実際の評判・口コミを紹介します。
打鍵感に関する口コミ
打鍵感に関しては、悪い口コミをほとんど見ませんでした。気持ちが良い、楽しいという口コミがほとんどです。楽しく疲れにくいから仕事が捗る、という声も多数挙げられています。
面白いのが、刻印の有無で打鍵感が異なるように感じている人がいることでしょう。これはおそらくですが、刻印の有無による手触りの違いによるものではないでしょうか。刻印があると少しざらついたり、引っ掛かりがあるように感じたりするのかもしれません。
打鍵音に関する口コミ
実際のタイピング動画をつけて投稿している人もいますね。動画でもわかるとおり、静電容量無接点と言っても全く音が無いわけではありません。ただ、スイッチのカチカチという音が無い分、比較的静かです。
音の印象はスコスコ、パタパタといったところでしょうか。程よく音が鳴るので、全くの静音モデルは好きじゃないという人にも合いそうです。
一方で、うるさいと感じる人も少なくありません。
中には静音マットを敷いて使っている人もいます。実際に動画などで音をチェックし、自分の好みや環境に合うかどうか確かめましょう。
デザインに関する口コミ
デザインに関しては、好意的な意見がとても多いです。特に非の打ち所がありませんよね。白は少し古めのデザインな印象がありますが、それなら黒を選べば良いというふうに解決できています。
シンプル・イズ・ベストなデザインだと言えるでしょう。
また、キーキャップを交換してカラーリングを変えている人もいます。
着せ替えとして楽しんでいる人もいれば、実用を兼ねてキーキャップを変えて楽しんでいる人もいます。
元のデザイン・カラーリングがとてもシンプルなので、アレンジがしやすいのでしょう。自分好みにカスタマイズしやすいのも、HHKBの魅力だと言えるのかもしれませんね。
使い勝手など総合的な口コミ
総合的に見ると、良し悪しがあるという口コミも結構あります。
上の人は指への負担が軽いという意見を見たが、どちらかというと打鍵感がしっかりしている分負担は重いと書いていますね。それでミスタイプが減るのが良いところですが、負担が重いのはネックとなります。
これは、キーストロークを深めに設定しているためでしょう。HHKBの押下圧は45gがスタンダードとなっています。押下圧は簡単に言えば、キーを底打ちするときにかかる力の重さです。決して軽い方ではないので、それなりに負担はかかります。
また、キー配列をデバイス側に記憶しコントロールできるのが良いと挙げている人もいますね。専用ソフトウェアを使うことにより、自由にキー配置をカスタマイズできるんです。大幅に変更するのはおすすめできませんが、これでより自分にとって使いやすくすることができます。
HHKBはどんな人におすすめなのか?
HHKBの特徴と評判を見てきました。その内容を踏まえ、HHKBがおすすめな人の特徴を紹介しましょう。
- コンパクトなキーボードが欲しい人
- Controlキーの使用頻度が高い人
- 打鍵感と打鍵音がしっかりした静電容量無接点式がほしい人
- 自分好みにカスタマイズして使いたい人
- 高級キーボードを視野に入れている人
まず、コンパクトさが合うかどうかでおすすめできるかが変わります。矢印キーが無いこと、ファンクションキーが無いことに違和感を抱かない人にはおすすめです。
ただ、Fnキーと他のキーを組み合わせることでそれらが使えるようになるので、慣れればそこまで苦労はしません。逆にFn操作に慣れると、ホームポジションから手を動かす事が減るのでタイピングが早くなります。
さらに、Controlキーの使用頻度が高い人にもおすすめです。Aの左にあるため、他のキーと組み合わせるときの運指が楽なんですよ。
打鍵感と打鍵音も特徴的なので、合う合わないがあります。とにかく静粛性が大事、という人や疲れにくさが大事という人には向かないかもしれません。比較的疲れにくいことは確かなのですが、疲れにくさに特化したキーボードは他にありますから。
そして、キーキャップや配列などを自分好みにカスタマイズしたい人にもおすすめです。
最後に大事なのは、予算ですね。高級キーボードを視野に入れている人くらいにしか、おすすめできません。
HHKBの主なモデルの特徴や違いを紹介します
PFU HHKBのモデルは、主に3つです。公式ページのラインナップを見るともっとあるように感じるかもしれませんが、色違いと刻印の有無などでページ分けされているためでしょう。実際は「Classic」「HYBRID」「HYBRID Type-S」の3つです。
Classic
Classicは、HHKBの最も安価なモデルとなります。HHKBの原点を受け継いでそのまま形にしている、伝統的なモデルです。価格は税込み2万5千円程度となっています。安価モデルにしては、高いですよね。
接続方式はUSB接続のみ、キーマップ変更機能には対応していません。キー配列は英語配列のみです。
機能が削られているものの、HHKBの基本的な特徴は全て備わっています。キーマップ変更は要らないから、とにかくHHKBが欲しいという人にはおすすめです。英語配列は日本語配列に比べ慣れていない人が多いかもしれませんが、慣れれば難しくはありません。
HYBRID
HYBRIDは、ハイスタンダードモデルという位置づけです。価格は3万円前後となっています。
特徴的なのは、ありとあらゆるデバイスに対応しているという点です。Windows、MacOS、Android、iOS、iPadOSに対応しています。スマホ・タブレットのOSにまで対応しているのが、凄いですよね。どんなデバイスにも繋げられますし、最大4台同時に接続可能です。
接続方法はUSBとBluetoothの2通りあります。
さらに、キーマップ変更機能も搭載。設定は本体に保存され、どのデバイスでも同じ設定で使うことができます。
さまざまなデバイスで使う人や自分好みのキーボードにカスタマイズしたい人は、HYBRIDが良いでしょう。
HYBRID Type-S
HYBRID Type-Sは、HHKBのフラッグシップモデルです。価格は3万5千円程度となっています。HYBRIDに搭載されている機能は全て搭載しているのに加え、静音モデルになっているのが特徴です。
そのためか、キーストロークも若干浅く3.8mmに調整されています。もう少し浅くしても良いのではないかと思うかもしれませんが、おそらくHHKB特有の打鍵感を殺さないために敢えてこのくらいの調整にしているのではないでしょうか。
音に関しては動画などでチェックしていただけるとわかりますが、HYBRIDよりもとても静かになっています。
ただ、個人の打ち方によって音は変わるんです。キーを底打ちしたり叩くように強く打ったりする人は、どれだけ静音性が高いモデルを使ったとしても、そこそこうるさくなります。
HYBRID Type-Sは、HYBRIDの機能が全て欲しいうえに静音性の高いモデルが良いという人におすすめです。
PFU HHKBは使いこなせば業務に最適! 仕事用にも趣味用にも!
PFU HHKBは、少し癖のあるキーボードです。高級キーボードだからといって、誰にでも使いやすいというわけではありません。
「HHKB(ハッピーハッカーキーボード)」という名前にあるとおり、そもそもがハッカーやプログラマーのために作られたものです。
特定の職業に最適化されているということは、使いにくいと感じる人もいるということ。
ただ、使いこなすことさえできれば、業務に最適なキーボードであることは確かです。
そのうえ、仕事でも趣味でも使える良いキーボードですよ。
自分好みにカスタマイズすることもできるので、自分にとって理想のキーボードを探している人は、一度チェックしてみても良いのではないでしょうか。