ASUS ProArt Display PA27JCVは、ASUSの5Kモニターです。
5Kモニターというと非常に高価なイメージがありますが、本機は12万円を切る価格で発売されており、コスパが高い製品だと言えます。
あわせて5Kという高解像度以外に魅力や特徴が豊富で、コストカットを感じさせない仕様と機能が盛り沢山なのがASUS PA27JCVという5Kモニターの面白いところです。
ASUS PA27JCVをASUSさんにお借りしましたので、良いところと気になる点について、レビューしていきます。
ASUS PA27JCVの基本的な仕様

まずは、ASUS PA27JCVの基本的な仕様について紹介していきます。スペックと外観について語っていくので、それらが気になる方はぜひご参考ください。
ASUS PA27JCVのスペック
- 解像度:5K(5120×2880)
- パネルサイズ:27インチ
- Pixels Per Inch(PPI):218
- アスペクト比:16:9
- 表示領域(H×V):596.74×335.66mm
- 表面仕様:AGLR(Anti-Glare,Low-Reflection)
- バックライト:LED
- パネルタイプ:IPS
- 視野角:H178°/V178°
- 画素ピッチ:0.116mm
- 色域:sRGB 100%/DCI-P3 99%/Adobe RGB 95%
- 輝度(HDR,ピーク):500cd/㎡
- 輝度(標準):400cd/㎡
- コントラスト比(Max):3000:1
- コントラスト比(標準):1500:1
- 表示色:1073.7M(10bit)
- リフレッシュレート:最大60Hz
- 応答速度:5ms(GTG)
- HDRサポート:HDR10
- フリッカーフリー機能:対応
- 色温度選択:可能
- ガンマ調整:可能
- ブルーライト軽減機能対応
- KVM機能対応
- ASUS Power Sync:対応
以上が、ASUS PA27JCVの簡単なスペックです。
機能に関しては一部のみ記載してありますが、それでも高性能かつ高機能になっています。
特徴的なのは、コントラスト比の高さです。IPSモニターは通常1000:1程度ですが、本機は標準でも1500:1と高めのコントラスト比になっています。
そのうえ、3000:1までブーストさせることも可能です。コントラスト比が高いと、黒いところがより黒く表現されるようになり、色の違いが鮮明になります。メリハリがつくということです。
より豊かな映像表現ができるだけでなく、見ている側が色をより正確に理解できるようになるというメリットもあります。
また、機能もさまざまなものに対応。色空間のプリセット変更機能や色温度の選択機能、ガンマ調整機能など色の表現に関わる機能が特に豊富です。


色の再現性・正確性が重視される画像編集や動画編集、イラスト制作などのクリエイティブな作業を行う方には特に適した機能性だと言えます。
ASUS PA27JCVの外観

ASUS PA27JCVの外観は、非常にシンプルです。
フロントには、装飾などが特にありません。上部および左右ベゼルはスリムになっており、複数枚モニター環境でも使いやすくなっています。

下部ベゼルには操作ボタンとASUSのロゴがありますが、フロントのロゴは控えめです。ボタンも色味が主張しすぎないように調整されています。

全体的に、ミニマルなフロントデザインです。

背面はProArtと大きめにロゴが入っていますが、それ以外の装飾などはありません。
LEDなども搭載されていないので、場所を選ばず使えるデザインだと言えます。
最後に斜め背面から見た構図。

斜め後ろに反っているスタンド形状により、奥行きを取らずに設置できるというデザイン的な工夫も施されています。
下の写真は壁ギリギリに設置した状態。

壁から12㎝程度の位置にモニターが来ますので、奥行きが狭いデスクでも充分に設置できます。

ASUS PA27JCVの良いところをレビュー
ここまで、ASUS PA27JCVの基本的な仕様について紹介してきました。今度は、ASUS PA27JCVの良いところについて、レビューしていきます。 5Kモニターの使用感、本機の表示品質や色再現性など、気になることがある方は、ぜひご参考ください。
5Kの作業領域の広さが快適

4Kと5Kで、それほど大きな違いがあるのか疑問に思う人もいるでしょうが、ピクセル数で比べてみると、違いは一目瞭然です。
- 4K:3840×2160p
- 5K:5120×2880p
約1.77倍です。
ピクセル数が増えると、作業領域が広がります。5Kのほうが、4Kよりも作業領域が77%ほども広いということです。
数値上の違いではありますが、実際に使ってみても明らかに違うと感じられます。
たとえば画像編集ソフトや動画編集ソフト、Unityなどの機能数が多く画面の表示内容が多種多様になりがちなソフトを使うときは、5Kのほうが明らかに作業がしやすいです。
表示領域が広くなったことで操作がしやすくなるだけでなく、全体像の把握もしやすくなります。
動画編集ソフトであればタイムラインをより広く見ることができ、Unityであれば同じズーム度合いであればより多くの情報を画面内に収められるということです。
5K特有の作業領域の広さが非常に快適で、作業効率がアップします。
表示品質が非常に高い

ASUS PA27JCVは、表示品質が非常に高いモニターです。
まず、表面処理がしっかりとしています。非光沢はもちろん、表面反射を抑える処理もされており、室内の様子が映り込みにくいです。画面が暗い場面でも映り込みが抑えられており、非常に快適。
映画を見ている際の暗転やゲームのロード画面などで、現実に引き戻されるということが少なくなります。
そのうえ、明るい部屋でも作業がしやすいということです。
色再現性が高い

ASUS PA27JCVは、色再現性が非常に高いです。
色域のカバー率は、sRGBで100%、DCI-P3で99%、Adobe RGBで95%となっています。一般的なIPSモニターでは、sRGBで90%台、DCI-P3が80%台後半程度ということが多いです。

色域というのは、規格で定められている色の範囲のこと。sRGB 100%ということは、sRGB規格で定められている色の範囲を全て再現できるということになります。
ただ、この数値上の色域の広さと実際の色の再現性はまた微妙に異なる領域の話です。
一般的なPCモニターでは、製造コストを抑えるためにキャリブレーションという工程が省略されることがよくあります。
これは、モニターの色表示を調整する作業のことです。これをしなければ、新品で同じ機種でも色表示に個体差が出ることがあります。そのうえ、色の再現性も落ちるのがネックです。
省略されているモニターでは、マニアがキャリブレーターを購入して自力でキャリブレーションを行うことがあります。
一方本機は、キャリブレーションが行われた状態で出荷されるため、色表示が比較的正確です。

チェックもしっかりとされており、CalMan認証というディスプレイの色精度を検証して、高い精度を保証する認証制度による認証も受けています。
ASUS PA27JCVは色の再現性が高いので、画像や映像を扱う作業がしやすいです。
もちろん、映画視聴などのコンテンツ閲覧においても、より発色が良くなり楽しくなるなどの恩恵が得られます。
ポート類が豊富でType-C給電もあり使いやすい

ASUS PA27JCVは、ポート類が豊富です。
背面には、HDMI2.1とDisplayPort 1.4がひとつずつあります。
そのうえ、Type-C端子が二つ。そのうちの一つは、映像入力だけでなく96Wの電力供給にも対応しています。
モニターから接続機器に給電ができるので、ノートパソコンとの接続が便利です。ノートパソコン側の電源ケーブルがなくても、問題なく使えるようになります。
そのうえ、96Wという高出力なのが良いところです。これだけの高出力に対応しているモニターは、なかなかありません。
これだけの出力があれば、クリエイティブな作業で使われることの多いMacBook Proも一部モデルを除けば使用可能です。
さらに、ヘッドフォン・イヤホンジャックを搭載しています。
背面ポートだけでも、非常に使いやすいです。
Auto KVMなど作業に使いやすい機能がある

ASUS PA27JCVには、作業に使いやすい機能がいくつか搭載されています。
最も代表的なのは、Auto KVMです。
これは、モニターにキーボードとマウスを接続しておけば、映像入力先を切り替えてもキーボードとマウスの再接続の必要がなく、そのまま使えるようになる機能のこと。
ケーブルを抜き差ししてキーボードの接続先を切り替える必要がないので、有線キーボードとマウスをマルチポイント搭載無線機器のように使えます。
さらに、この機能のために、ASUS PA27JCVには下部ベゼル下にUSB HUBが搭載されているのが特徴です。USB 3.2 Gen1のType-Aポートが1つ、Type-Cが1つ付いています。

KVMだけならType-Aポート2つで問題がないのに対し、本機は背面とトータルでType-Aが3つ、Type-Cが2つと豪華です。

キーボードとマウスだけでなく、スマホの充電、外付けSSDの接続、左手デバイスやペンタブレットなどなど、ほかの周辺機器の接続にも使えます。

モニターに外付けSSDなど外部ストレージを接続しておくことで、モニターとつないでいるPCを切り替えるだけでアクセスできるのもありがたいです。
外部ストレージをそれぞれのPCに取り付けなおす必要がありませんので、ちょっとしたファイルサーバーのような使い方も可能です。
スタンドの機能性が十分高い

付属スタンドの機能性が高いのも、ASUS PA27JCVの良いところです。
- 高さ調節:0~130mm
- 上下角度調整(チルト):-5°~+23°
- 縦回転(ピポット):-90°~+90°
- 左右角度調節(スイベル):-30°~+30°
高さ130㎝まで上げられるということは、MacBook Pro14インチをの後ろに本機を配置した際、ほぼ重ならずに画面を見ることのできる高さです。

もちろんMacBookProの画面を少し後ろに傾ければ、隠れる部分を無くすこともできます。
高さを最大130mmまで上げることができ、角度も大きく調整できます。回転させて縦モニターにすることもできるので、モニターアームが無くとも十分快適に運用可能です。
縦回転できるのが、特に便利。テキストファイルの閲覧や作成などの際には、縦回転すると快適です。

縦にした状態でも高さ調整やスイベル・チルト調整ができるのも強み。

さらに、スタンドにはケーブルを通す穴が付いています。ケーブルをまとめることができるので、見た目がスッキリするうえにケーブルがごちゃつかないのも良いところです。
コスパが非常に高い
ASUS PA27JCVは、価格がAmazonで11万8000円程度と、5Kモニターとしては安いです。
4Kでも、この価格を超える作業向けのモニターが数多くあることを考えれば、コスパが非常に高いと言えます。
そのうえ、本機はキャリブレーション済みだったり機能が豊富だったり、色性能が高かったりと5K以外の優位性が多いです。
これだけの特徴を備えている5Kモニターで、11万8000円程度の価格で購入できるのは、非常にお得だと言えます。
ASUS PA27JCVの気になる点をレビュー
ここまで、ASUS PA27JCVの良いところについてレビューしてきました。性能が高いだけでなく機能も豊富で、出荷時のキャリブレーションや認証も行われており、コスパが圧倒的に高いのが良いところです。
ただ、一部に気になる点もあるので、今度はASUS PA27JCVの気になる点をレビューしていきます。
27インチで5Kなので密度が非常に高い

ASUS PA27JCVは、27インチの5Kモニターです。
解像度というのは、高くなればなるほどピクセル数が増え、画面の表示領域が広がります。
この都合上、解像度が上がれば上がるほど最適なパネルサイズも大きくなるものです。
4Kで30インチ以上が適正と言われており、5Kともなればそれよりも大きいパネルサイズが適正サイズだと言えます。40インチ以上のパネルを採用する5Kモニターも、少なくありません。
最早、大型テレビ並のサイズです。
一方、本機は27インチと小さくなっています。
当然、ピクセルの密度が高いです。
密度が高くなることで、画面は大きなパネルのモニターよりも綺麗に見えます。
ただ、文字やアイコンなどが小さく表示されるのがネックです。
これはどちらも、1ドットのサイズが小さくなることが理由になっています。ドットが小さくなることでより画面が綺麗になり、アイコンや文字は小さくなるということ。
この点は、念頭に置いておきましょう。
Auto KVMでのキーボード切り替えは癖がある(解決)

本機の特徴であるAuto KVMは非常に便利で、キーボードとマウスの接続切り替えは自動です。無線のマルチポイント接続よりも、むしろ切り替えが楽になります。
ただし私の環境では癖がありました。
HDMI接続PCからType-C接続PCへの接続切り替えは問題なく、キーボードやマウスもスムーズに切り替えられました。
ただし、Type-C接続PCからHDMI接続PCへの切り替え時、キーボード・マウスはType-C接続PC側に接続され続けてしまい移行ができませんでした。
Type-Cケーブルを一度抜けばHDMI接続PCに接続が移行されます。
癖を理解して運用でカバーすれば問題なく使えるのでさほど問題にはなりませんが、最初は繋がらなくて焦るはずです。
もしかしたら私の設定ミスや具合の可能性もありますので、こちらはASUSさんにも確認したいと思います。
無事解決しました
ASUSさんに確認したところ、OSDでKVMの設定が間違っている可能性があると聞いて、案内通りに設定を確認したところ、下記設定が入ってませんでした。

Auto KVMを利用する際にOSDにて設定を入れる必要があり、Type-C接続PC(アップストリーム1)にてAutoにポチが入っている必要がありますが、こちらが抜けていたようです。
Autoに設定を入れたところ、切り替えのトラブルは無事解消できまして、スムーズに切り替えができるようになりました。(めちゃくちゃ便利です)
同じようなトラブル・症状が生じて悩んでいる方は参考にしてください。
ASUS PA27JCVはこんな方におすすめ!
- 5Kモニターを比較的安く手に入れたい方
- 作業用に快適なモニターが欲しい方
- クリエイターの方
- 複数のPCと接続したい方
ASUS PA27JCVは、以上のような方々におすすめです。
5Kモニターとしては安いので、安い5Kモニターを探している方には最適だと言えます。
そのうえ、本機は作業向けの性能を持っているモニターです。機能も作業向けに統一されており、作業およびコンテンツ閲覧に向いています。
作業で使いたい方には特におすすめです。
まとめ

本記事では、ASUS PA27JCVについてレビューしてきました。
本機は、作業向けの5Kモニターとしては非常に高性能かつ高機能です。5Kという圧倒的な表示領域の広さで快適になるだけでなく、色性能が高くクリエイティブな作業には最適。そのうえ、KVM機能やUSBハブ機能など、機能が豊富です。
作業およびコンテンツ視聴目的で5Kモニターを探している方、特に色の再現性が重要な作業をしている方には非常におすすめのモニターですよ。