CANON EOS R50 Vは、キヤノンが2025年5月に発売した動画撮影特化型のデジタル一眼レフカメラです。
元々、エントリーモデルとしてCANON EOS R50が人気を博していました。R50 Vは、その動画撮影特化版として、注目を集めています。
エントリークラスでありながら4K60fpsでの撮影に対応していたり、機能が豊富だったりするのがCANON EOS R50 Vの魅力です。
さらに、同時に購入できるRF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZレンズキットの存在も、注目されています。
本記事では、そんなCANON EOS R50 VとRF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZレンズキットについてレビューしていくので、気になる方はぜひご参考ください。
CANON EOS R50 Vの基本的な仕様

まずは、CANON EOS R50 Vの基本的な仕様について紹介していきます。スペックとデザインについてをメインで語っていくので、仕様などが知りたい方はぜひご参考ください。
スペック
- 型式:デジタル一眼ノンレフレックスAF・AEカメラ
- 記録媒体:シングルスロット:SD、SDHC、SDXCメモリーカード
- レンズマウント:キヤノンRFマウント
- 使用レンズ:キヤノンRFレンズ群
- レンズ焦点距離:レンズ表記焦点距離の約1.6倍に相当
- センサー:APS-CサイズCMOS(約2420万画素)
- 動画記録:6Kオーバーサンプリング4K30p/クロップあり4K60p、フルHD120p
- ボディー内手ブレ補正(IS機能):非搭載
- 映像素子 型式:APS-CサイズCMOSセンサー
- 画面サイズ:約22.3×14.9mm
- カメラ部有効画素数:最大約2420万画素
- 総画角数:約2550万画素
- デュアルピクセルCMOS AF:対応
- 内蔵マイク:ステレオマイク
- 外部マイク(外部マイク入力端子):3.5mmステレオミニジャック
- 外部マイク(マイクアクセサリーシュー):指向性ステレオマイクロホン DM-E1D対応
- モニター型式:TFTカラー液晶モニター
- 画面サイズ:3.0型(画面比率3:2)
- 約104万ドット
- 視野角:上下/左右ともに約150°
- 視野率:上下/左右とも約100%(画像サイズL、アスペクト3:2)
- モニターの明るさ:7段階に調整可能
- 色調調整:非対応
- タッチパネル仕様:静電容量方式
- 使用可能温度:0℃~+40℃
- 使用可能湿度:85%以下
- 本体重量:約323g(バッテリー等含まず)
以上が、CANON EOS R50 Vの簡単なスペックです。
基本的にはエントリークラスの性能ですが、動画撮影用として必要な性能と機能は備わっています。エントリークラスとしては、比較的高性能な部類です。
手ブレ補正に関しては後ほど詳しく解説しますが、内部手ブレ補正はないものの、電子手ブレ補正は備わっています。
本体価格は、ボディ単体で11万3,300円、レンズキットで140,800円です。一般的には高価ですが、デジタル一眼レフカメラとしては、エントリークラスの価格帯だと言えます。
デザイン

デザインは、EOSシリーズの中では変わり者です。
まず、カメラのボディ形状がフラットになっています。上面が平坦なのが特徴で、元となっているR50とも、また異なる外観です。

ファインダーを省略しているため、フラットに仕上がっています。
見た目からして軽そうですが、実際の重要も非常に軽いです。バッテリーとメモリーカードを含まず、323g。バッテリーなどを入れても、軽い部類です。
コンパクトかつ軽量なので、長時間手に持って撮影するような場面でも使いやすくなっています。

さらに、メインダイヤルもR50と違う部分です。位置と向きが動画撮影用カメラとして最適化されており、人差し指で回すダイヤルだったのが親指で回すタイプに変わっています。
写真用のモードは一つに集約されており、ほかは全て動画撮影に特化しているのも特徴です。

そして、ボディ底面だけでなく、右側面にも三脚穴があるのも特徴的。スマホ向けの縦型動画の撮影も、比較的簡単にできるようにこのような形になっています。
全体的に、動画撮影を快適にするための工夫がされている良質なデザインです。
RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZレンズキットとは?

ここまで、CANON EOS R50 Vのスペックとデザインについて、紹介してきました。続いて、RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZレンズキットについて、紹介していきます。どんなレンズキットなのか興味がある方は、ぜひご参考ください。
動画撮影に適した仕様のレンズキット

RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZレンズキットは、動画撮影に適した仕様を持っています。
標準ズームレンズはやや広角寄りで、どちらかと言えば暗い部類ですが、実際に使うと気持ちのいいレンズです。開放で撮っても解像感が落ちることがなく、収差も特に気にはならず、エントリーモデルとしては良好。
開放から安心して使えます。
さらに、最短撮影距離が0.15m、最大撮影倍率が0.38倍と近接撮影がしやすい性能なのも魅力的です。

本格的とまではいかなくとも、マクロ撮影ができます。
商品レビュー動画など、対象物を近くでじっくりと見せたいときに便利です。ガジェット紹介でそのガジェットの外観を紹介しているときの映像などに、役立ちます。
オートフォーカスなどの駆動も静かで、使いやすいです。
パワーズームに対応した広角レンズ

RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZレンズキットは、RFレンズとして初のパワーズームを内蔵した広角レンズです。
パワーズームというのは、レンズの焦点距離を変える作業を電動モーターで行う機能のこと。電動モーターにより、動画撮影時に安定した滑らかなズーミングができます。
ズーミング中の操作音の軽減、手動では難しい操作ができるなどのメリットがあるのが特徴です。
こちらはパワーズームでの挙動を確認するための動画。あわせて確認ください。
また、ズームリングでのズーム操作もできるようになっています。自撮り撮影などを行う際、レンズ側からの画角調整が簡単にできるのが良いところです。自撮り撮影もするVlogなどで、重宝します。
ズーム速度に関しては、回転角度に応じて低速と高速の2段階です。
RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZの良いところは、機能面が充実していること。
一方で、写りに関しては値段相応です。エントリーモデルのレンズとしては色々なことができて楽しいですが、単純なレンズの質自体は可もなく不可もなくといったところ。
焦点距離も、やや中途半端に感じられます。14-30mmは実質、約22~48mm相当で、広角も望遠も中途半端です。
望遠らしい望遠、広角らしい広角レンズを望んでいる方は肩透かしを食らう可能性がありますが、単純にパワーズームなどの機能面で購入するならとてもおすすめのレンズキットだと言えます。
CANON EOS R50 Vの良い点をレビュー
ここまで、CANON EOS R50 VおよびRF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZレンズキットの仕様などについて、簡単に紹介してきました。今度は、CANON EOS R50 Vの良い点について、それぞれ詳しくレビューしていきます。
実際の使用感や詳しい機能などが気になる方は、ぜひご参考ください。
動画特化の操作体系で使いやすい

CANON EOS R50 Vは、本体からして動画特化に作られています。
たとえば、モードダイヤルが動画撮影のために最適化されていること。C1~C3のカスタムモードを含み、動画モードの数が多く、それぞれがモードダイヤルにしっかりと割り当てられています。
静止画モードは、一種類だけという大胆な設定です。

そのためR50 Vで写真撮影する際の設定変更は物理的なダイヤル操作ではなく、メニュー画面から行う必要があります。

写真撮影時に頻繁に撮影モードを変更する方は煩わしく感じるかもしれません。
私の場合は、撮影の99.9%(ほぼ100%)が絞り優先モードで撮影をしており、設定後のモニターUIはメイン機のEOS R8と同じなので違和感もストレスもなく使用できています。

シャッターボタンはRECボタンと同一になっており、写真を撮りたいときには静止画モードに切り替えることになります。基本的には動画撮影で使い、たまには写真に使うといったUIデザインです。
また、本体フロントにもRECボタンが配置されており、自撮りユーザーにとって扱いやすい設計です。

動画メインで使う方にとっては、直感的でストレスフリーになっています。
さらに、上部にはズームレバーを搭載。

パワーズームレンズと組み合わせることで、よりスムーズなズーミングができます。
縦位置撮影に対応している

近年は、スマホ向けコンテンツの需要が高いです。
特にYouTubeのショート動画やTikTokなど、縦画面動画の需要が高くなってきています。スマホを回転させずとも気軽に見られるので、PCにそれほど馴染みのない若者からの支持が厚いです。
動画投稿者の多くが、縦動画をアップロードしている時代だと言えます。
そのスマホ向けコンテンツ制作にも、CANON EOS R50 Vは使いやすいです。
側面に三脚穴が開いており、縦位置での撮影をスムーズに行えます。Lプレートが不要なので、撮影に入るまでの時間と手間が減らせて作業効率を高められるのが良いところです。
4K60FPSに対応している

EOS R50 Vの大きな特徴として、4K60fpsの動画が撮影できるという点があります。
EOS R50では、この撮影には対応していませんでした。
近年は4Kモニターを持っている人も増えてきているうえに、動画投稿サイトも4Kに対応しており、4K動画の需要は昔よりも高くなってきています。4Kで、しかも60FPSと十分実用的なフレームレートで撮影できるのは良いところ。
クロップされるというデメリットはあるものの、対応していないよりは良いです。
さらに、フルHDでは最高120fpsに対応しています。
フルHDでの高フレームレート撮影ができるのも、良いところです。
撮影モードの幅が広く色調調整も便利

CANON EOS R50 Vは、撮影モードの幅が広いです。
もちろん、撮影モードのほとんどは動画撮影向けになっています。
Canon Log 3、カラーフィルター、シネマビュー、フォルスカラー、レビュー動画モードなど、モードの種類が豊富です。
シネマレビューは、映画のようなワイドな画角と映画に近いフレームレートで動画を撮影するためのモード。手間をかけず、手軽にシネマティックな映像表現ができるのが、良いところです。
さらに、EOS R50 Vにはカスタムピクチャーという新たに追加された機能があります。
これは、ガンマ/色空間、カラーマトリクスなど色調を調整する項目を任意に選べる機能です。一部の上位機種に搭載されているモデルで、エントリーモデルに搭載されるのは珍しく、機能面でのEOS R50 Vの目玉の一つだと言えます。
色調をしっかりと調整することで、暗い場面でも明るい日中でも撮影がしやすいのが良いところです。
レビュー動画の撮影がしやすい

EOS R50 Vには、レビュー用動画という動画撮影モードが用意されています。
これは、カメラの近くにあるものにピントを合わせて撮影する機能のことです。
レビュー動画では、商品を手に持ってピントを合わせて撮影する場面が多々あります。このとき、多くのカメラは自然と人間の顔にピントを合わせてしまうため、カメラにピントを合わせるために手を添えるなどの工夫をしている人が多いです
EOS R50 Vでは、このモードを使えば自然と手前にある被写体を優先してピントを合わせてくれます。わざわざ手を添えたり何度もピントを合わせたりしなくても良いので、便利です。
もちろん人物を前面に出したい場面では、背景の棚などにピントがいきにくく、手前側の人物にピントが合いやすくなります。
カメラに慣れていない人でも、手間を減らしてレビュー動画撮影をストレスフリーで行えるのが、良いところです。ガジェットレビュー系のYouTuberなどには、特におすすめだと言えます。
ライブ配信機能がある

近年の動画投稿サイトでは、動画はもちろん生配信の人気が高いです。動画をメインで活動している人でも、たまに生配信で雑談や作業配信などをしている例が多く見られます。
CANON EOS R50 Vには、ライブ配信ボタンが搭載されているのが大きな特徴です。
動画撮影向けのモードから、配信向けのモードにワンボタンで移ります。USB接続によるPC不要の直接配信、スマホを通した配信など4つの方法を選択可能。
PC不要なのは、出先での配信には特に便利です。通常は出先で配信がしたい場合、スマホとジンバルなどを使って行いますが、CANON EOS R50 Vでは動画撮影で使っているカメラをそのまま使えます。
スマホと比べると、画質面での優位性があり、便利です。
また、USB給電をしながらの長時間配信も行えます。
動画だけでなく写真にも使いやすい

CANON EOS R50 Vは動画撮影に特化したカメラですが、もちろん写真撮影にも使えます。写真向けのモードは一つしかないものの、性能的には十分写真にも使いやすいです。
それもそのはずで、カメラの中身に関しては同社で特に高い評価を受けているEOS R50と共通する部分が多くなっています。基本的な部分はほとんど同じで、動画撮影用に調整しているというイメージです。
デュアルピクセルCMOS AFIIによるスムーズなオートフォーカスシステムや、被写体を検出して自動でピントを合わせる機能など、CANON EOS R50にも搭載されていた高いAF性能を本機も受け継いでいます。
シャッタースピードも電子先幕が最速で1/4000、電子シャッターが最速1/8000と十分高速です。
そのうえ、EOS R50にはない登場人物優先AF機能、モニターの輝度を上げる機能、カラーフィルター機能などが写真でもしっかりと使えます。
動画撮影をしながら、サムネ用素材を撮影したりnoteなどで使う写真素材を撮ったりするような使い方もできるので、便利です。
また、当然ですがEOS R50 Vは一眼レフなのでレンズ交換も可能です。
CANONのRレンズやEFレンズ(アダプタは必要)を取り付ければ撮影の幅が一気に広がります。



オーバーヒート耐性が高い

CANON EOS R50 Vは、オーバーヒート耐性が高いです。
公式のスペック説明では、フルHD60pで最長2時間の連続撮影ができると書かれています。
実際に4K60Pで負荷テストをしたところ、バッテリーが終わるまで約1時間2分続けて撮影しましたが、撮影後の本体およびバッテリーにはあまり熱がありませんでした。
バッテリー持続時間をフルで使ったとしてもオーバーヒートすることがなく、撮影後の熱の持ち方も抑えられているため、給電しながらの使用も安心して行いやすいです。
これだけのオーバーヒート耐性を持っている理由は、マグネシウム合金を使っていること。金属筐体を使うことで、熱を効率よく拡散させることができます。
そのため、冷却ファンが無くとも熱がこもりにくいということです。
長時間撮影、給電しながらの配信、夏場の屋外撮影など幅広く使えます。
CANON EOS R50 Vの気になる点をレビュー
ここまで、CANON EOS R50 Vの良いところについてレビューしてきました。本機はエントリーモデルとしては非常に機能的で、性能も申し分ないところがあります。
ただ、一部に気になる点があるのも確かです。
そこで今度は、CANON EOS R50 Vの気になる点についてレビューしていくので、ぜひご参考ください。
ボディ内手ぶれ補正は非搭載
CANON EOS R50 Vは、ボディ内手ぶれ補正は搭載されていません。
ボディ内手ぶれ補正は、名前の通り、カメラ本体に組み込まれた手ブレ補正機能のことです。本体に組み込まれているため、レンズの種類を問わず手ブレを補正できます。
CANON EOS R50 Vの手ぶれ補正は、電子式手ブレ補正機能が担当。
実際に試してみたところ、動画撮影時には手持ちでもブレてきついということはなく、立って撮影する分には問題がありませんでした。
ただし、歩きながらの撮影に関しては電子補正が入っているという印象です。
アクションカメラのような使い方は、できません。激しい動体にくくりつけて運用するというよりも、手で持ったり安定した三脚に固定したりして撮影するという用途に向いています。
4K60FPSでは大幅なクロップがある
CANON EOS R50 Vは4K60fpsに対応していることが大きな特徴の一つとなっていますが、4K60fpsでは大幅なクロップがかかるという点には注意が必要です。
クロップというのは、センサーの一部を切り取り、被写体を拡大して写すことを指します。意図的に行われることもある技術ですが、CANON EOS R50 Vの4K60fpsに関しては使用時には常にクロップがかかるので注意しましょう。
狭い画角の4K動画を撮影するのには向いていますが、広い画角を取るような撮影には向いていません。
動画撮影中の露出確認が少し不便

CANON EOS R50 Vは、動画撮影中にヒストグラムが表示されません。
ヒストグラムというのは、画像の明るさの分布をグラフで表すものです。横軸は明るさ、縦軸には明るさを持つピクセル数を現しています。
これを見ることによって、露出が適切か、白飛びがないか、黒つぶれしていないかを判断できるので案外重要です。
これが表示されないので、CANON EOS R50 Vは露出確認が少し不便です。
CANON R50 Vの仕様として、撮影前はヒストグラムが表示されて、撮影を開始するとヒストグラムが表示されなくなる仕様です。
撮影前

撮影中

動画撮影をしながらシームレスにヒストグラムを見て、露出確認がしたいという方は注意しましょう。
CANON EOS R50V+RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZレンズキットはこんな人におすすめ

・これから動画投稿を始めたいと思っている方
・より安価なカメラからの乗り換え先に考えている方
・写真撮影よりも動画撮影をメインに行いたい方
・レビュー動画投稿者
CANON EOS R50 Vは、以上のような方々におすすめです。
CANON EOS R50 Vは、動画撮影用のカメラとしてはエントリーモデルの部類になります。
そもそも、元になったCANON EOS R50が同社のエントリーモデル。とはいえ、エントリーモデルのなかでは高性能かつ高機能だということで、高い人気を獲得しているカメラです。
これから動画撮影を始めたいと思っている方や、これまではスマホやより安価なカメラなどの最低限の環境で撮影をしていたという方には非常におすすめできます。
さらに、動画撮影をメインとしつつ写真も撮影したいという方であれば、特におすすめです。
まとめ

本記事では、CANON EOS R50 V+RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZレンズキットについて、レビューしてきました。
CANON EOS R50とRF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZレンズキットは、どちらもキヤノン製のエントリーモデルです。入門用として価格相応のレンズの品質を供えながら、お値段以上の機能を搭載しているのが特徴。
単純な写りの性能そのものというよりも、オートフォーカス機能の性能や多彩なモード類、調整機能などが魅力の製品だと言えます。
高機能で使いやすいので、動画撮影用カメラ初心者にとてもおすすめですよ。