TRIPOWIN×HBB Kailuaは、中国のオーディオメーカーLinsoul AudioのTRIPOWINと人気レビュアーのHBB氏のコラボモデルです。
数々のイヤホンを試してきたHBB氏がメーカーと協力して手掛けているということもあり、音に関するこだわりが見られます。ほかの製品ではあまり見ないような構成だったり、音の傾向だったり面白い点が多いです。
ただ、日本ではあまり馴染みのない人とのコラボモデル。
気になってはいても、すぐ購入に踏み切れないという人も多いはず。
そこで今回は、TRIPOWIN×HBB Kailuaの基本仕様を紹介したうえで、良いところと気になる点をレビューしていきます。
TRIPOWIN×HBB Kailuaの基本仕様
い倒せるように作られています。まずは、そんなTRIPOWIN×HBB Kailuaのスペックと外観、付属品について紹介していくので、ぜひご参考ください。
スペック
- ドライバー1:10mm DLCチタンコーティング振動版ダイナミックドライバー
- ドライバー2:6mmチタンコーティング振動版ダイナミックドライバー
- THD:<0.5%@1kHz
- インピーダンス:19Ω
- 周波数帯域:12Hz~36kHz
- コネクタ:0.78mm2pin
- プラグ:3.5mmステレオプラグ
以上が、本機の簡単なスペックです。
特徴的なのは、やはりドライバーの構成。異なるダイナミックドライバーを2つ使うというのは、比較的珍しいです。ダイナミックとBAドライバーを組み合わせたハイブリッドはよくありますが、ダイナミック型同士のハイブリッドはなかなかありません。
片方は10mmのDLCチタンメッキ、もう片方は6mmチタンメッキの構成です。サイズが大きいと、低音の迫力が増します。イヤホンで10mmであれば、大きい部類です。
低音再生に有利な大口径と、小口径を組み合わせているということ。
また、インピーダンスはイヤホンのなかでは一般的だと言えます。対応できるデバイスの種類が狭まることは、ありません。
外観
TRIPOWIN×HBB Kailuaの外観は、平面の印象です。ハウジング部分があまり出っ張っておらず、平坦になっています。
中心がほんの少しぽっこりとしているものの、耳から飛び出すほどではありません。
デザイン的には、地味すぎず派手すぎずといったところ。カラーバリエーションにもよりますが、ほんの少しだけ目立つものの外を歩いていて気になるほどではないレベルです。
さらに、カラーバリエーションは「ブラック」「ホワイト」「チタニウム(ブルー)」3色。本レビューで紹介しているのはチタニウム(ブルー)です
本体のベースから—と、ハウジングの中心部分の色が異なります。
ホワイトは中心部分は、ピンクです。かわいいデザインが好きな方には、ホワイトがおすすめ。
ブラックは、少しピンクがかった紫になっています。マゼンタに近いイメージです。男女問わず、違和感なく着けられる色とデザイン。
チタニウムは、本体部分が金属感のあるチタンカラーになっています。中心部は綺麗な水色です。こちらも、男女問わず着けやすいデザインになっています。
付属品
- イヤホン本体
- ケーブル
- イヤーピース2種類(それぞれにS/M/Lの3サイズ)
- 補償カード
付属品は、非常にシンプルです。
特徴があるとすれば、イヤーピースが2種類付属すること。それぞれに、S/M/Lの3サイズずつ用意されています。合計6セットです。
イヤーピースは、どちらもシリコンタイプ。色がグレーとブラックになっています。
TRIPOWIN×HBB Kailuaの良いところをレビュー!
ここまで、TRIPOWIN×HBB Kailuaのスペックなどについて解説してきました。ここからは、実際に本機の良いところについてレビューしていきます。音質傾向などについても解説するので、ぜひご参考ください。
中低音寄りニュートラルな音が聴きやすい
TRIPOWIN×HBB Kailuaの音質傾向は、中低音寄りのニュートラルといった印象です。
中低域から低域が少し厚く作られており、音楽鑑賞に最適。厚めとは言っても「若干厚い」という程度なので、全体的には自然な音に仕上がっています。ニュートラルで、聴き疲れしない音です。
長時間、音楽を聴きながら作業する方などにおすすめ。
もちろん、音楽に聴き入るのに使うのにも向いています。
また、ASMR系の配信や音声作品を聴くのにも向いている音質特性です。ASMRは若干中低音寄りの音が多い傾向があるので、中低音寄りニュートラルな本機は最適。
さまざまな用途で活躍する音です。
低音には深みとズッシリとした量感がある
低音には、深く奥行きがあります。尖っているわけではなく、自然な柔らかさを感じる低音です。
柔らかく深い音ですが、適度にアタックもあります。重低音はさらに深くまで響くうえに、ズッシリとした量感があるのが特徴的です。
10mmのDLC振動版の特性が、ハッキリと表れています。
厚みのある低音で中音の下支えをして、全体をまとめているような音。バランスをよくするための深みと量感といったイメージです。
中音域は明瞭でボーカル向きの調整
中音域は、ボーカル向きの調整になっています。
バランス的にはニュートラルですが、明瞭感が高いのが特徴的。抜けも良く、女性ボーカルとの相性が非常にいいです。温かみと厚みも適度に感じられるので、低域とマッチして、より綺麗に聞こえます。
さらに、演奏との分離感も良好。たとえばギターも中音域にあたりますが、ギターの音とボーカルとはハッキリ切り離されています。
それでも全体としてはまとまっており、スッキリとしているのがいいところ。
また、ジャンルはポップス、ロック、アニソンなどとの相性が特にいいです。特にボーカルに温かみのあるバンドが多い邦ロックには、よく合います。
高域はスッキリしていて聴き疲れしない
高域は、スッキリとしています。
中音域・低音域と比べると、主張は控えめです。明瞭で、伸びが良い音という印象があります。メリハリがある高音というよりも、温かみと柔らかさを感じる高音です。
各音域のなかで、最も味付けが少なくニュートラル。
解像度自体はそれなりに高いものの、刺さる感じは特にありません。
本機を使ったときに感じる「いつまでも聴いていられる」という感覚の大部分が、この高音のスッキリとした爽やかな音にあるような印象があります。
定位がよく演出重視
本機の定位感は、良好です。定位がわからないということは全くなく、しっかり音が各方向に振り分けられています。ボーカルが中心、リードギターが右、ドラムが奥から聞こえるなど基本の定位はバッチリ。
ただ、モニター的な音質ではなく演出を重視しているところがあります。
音場に関しても適度な広がりがありますが、こちらも演出重視です。
音楽や音声作品がより楽しくなるイヤホンですが、原音を求める方やモニター的な使い方をするケースには不向きです。
寝ホンにも使える形状と厚み
TRIPOWIN×HBB Kailuaは、明らかに音楽鑑賞用に作られているイメージですが、実は寝ホンとしても使いやすいです。
本体に出っ張りがない形状で、薄いのがいいところ。耳から出っ張る部分が全くなく、装着しながら耳を下にして寝ころんだとしても違和感がありません。
装着時のフィット感も高いので、すぐ取れることもなく寝ながら使うのに適しています。
そのうえ、音質傾向的にASMR系の音声作品にも向いているのがいいところ。作業中、休憩中、睡眠時など時と場所を選ばず使い倒せます。
装着感がかなり良好
TRIPOWIN×HBB Kailuaの装着感は、いたって良好です。
耳の大きさに関わらず、フィット感が高くなるように作られています。イヤーピースのフィット感も高く、耳が大きくても小さくても適したサイズを使っていればすぐ取れることがありません。
付属のケーブルも、耳にかける部分がしっかり用意されています。SHURE掛けをしやすく、多少激しく動いてもズレたり落ちたりしません。
TRIPOWIN×HBB Kailuaの気になる点をレビュー
ここまで、TRIPOWIN×HBB Kailuaの良いところについてレビューしてきました。良いところもあれば、人によってはイマイチだと感じられるところもあります。音質は特に、人によって好みが分かれるところ。
そこで今度は、TRIPOWIN×HBB Kailuの人によっては気になるだろう点をレビューしていくので、ぜひご参考ください。
低音重視派には少し物足りない
TRIPOWIN×HBB Kailuは、低音重視派には少し物足りない音です。
中低音寄りではあるものの、全体としてはあくまでニュートラル。10mmダイナミックドライバーと6mmダイナミックドライバーを合わせることで、バランスを取っています。
もちろん、10mmのダイナミックドライバーが使われているため、ある程度低音には重みと迫力があるのがいいところです。
ただし、低音重視派が満足できるレベルとは言い難いです。
高音重視派には少し物足りない
TRIPOWIN×HBB Kailuaは、高音重視派にはあまりおすすめしません。
本機はどちらかと言えば中低音寄りで、全体的にはニュートラルサウンド。高音は主張も演出も控えめで、スッキリとした音です。抜けが良く温かみがありますが、艶は控えめ。
ハッキリとした艶を感じるような高音が好きな方には、不向きな音です。
ケーブル装着時左右が分かりづらい
TRIPOWIN×HBB Kailuaは、本体にLRの刻印や赤青の左右を識別させるための目印がありません。
その為、はじめて使う際は「あれ、どっち?」と戸惑うはずです。
間違った形でケーブルを刺すと耳にはフィットしないため、間違えであることは気づきますので、すぐに本体とケーブル正しい形にセッティングすることはできますが、少々戸惑うことは否めません。
付属ケーブルは干渉しやすいのでリケーブルが吉
TRIPOWIN×HBB Kailuaの付属ケーブルは0.78mm 2pin仕様で、高純度OCC線材が採用されています。合わせて透明な樹脂被膜で覆われていますが、この素材が干渉しやすい印象があります。
気になる方はリケーブルで使い勝手の良いケーブルに交換することをおすすめします。
TRIPOWIN×HBB Kailuaはこんな方におすすめ!
- ニュートラルサウンドが好きな方
- モニター的音質よりも演出重視な音を楽しみたい方(ケース)
- 音楽などを長時間聴いていたい方
- 音声作品を流しながら寝ホンとしても使いたい方
- ポップス、ロック、アニソンが好きな方
- 1万円程度でクオリティの高いイヤホンが欲しい方
TRIPOWIN×HBB Kailuaは、以上のような方々におすすめです。
本機は、基本的には中低音寄りのニュートラルサウンド。そういう音が好きな方には、非常におすすめです。フラットなイヤホンでも、普段はイコライザーで中音と低音を少し上げているという方には特に合う可能性が高いと言えます。
さらに、音質特性的にも装着感的にも、長時間使うのに最適です。作業中など、長時間音楽を聴いている場面が多い方にもおすすめ。
そして、意外と音声作品向きの音質傾向で、なおかつ寝ホンとして使いやすい形状をしているのも本機の魅力のひとつです。音楽鑑賞用としても、寝ホンとしてもマルチに使いたい方にも向いています。
まとめ|ポップでパワフル!使い倒せるイヤホン
本記事では、TRIPOWIN×HBB Kailuaの良いところと気になるところについて、レビューしてきました。
気になる点は、そのどれもが良いところの裏返しです。音質的な合う合わないということしかなく、音質傾向が合うという方は大きな不満点を抱きにくい製品だと言えます。
音楽鑑賞向けではあるものの、ASMR用の寝ホンとして使いやすいなどマルチに使えるのもいいところです。
比較的低価格で、音質がよくマルチに使えるイヤホンを探している方には、特におすすめですよ。