SOUNDPEATS Engine4は、1万円未満で購入できる完全ワイヤレスイヤホンです。
近年はノイズキャンセリングを搭載しているワイヤレスイヤホンが、1万円未満でも十分購入できます。そのなかで、本機はノイズキャンセリングなどの機能面よりも音質面にスペックを振り切ったイヤホンです。
1万円未満で音質重視のイヤホンを選ぶなら、有線一択になりがち。
そこに現れた完全ワイヤレスイヤホンの選択肢として、注目されています。
これから、そんなSOUNDPEATS Engine4の特徴や良いところと気になるところなどについてレビューしていくので、ぜひご参考ください。
SOUNDPEATS Engine4の基本仕様と外観
SOUNDPEATS Engine4には、さまざまな特徴があります。音質に性能を振り切るために、多くの工夫があるのが魅力です。それらについて紹介する前に、まずは本機の基本仕様と外観について紹介していきます。
スペック
- タイプ:完全ワイヤレスイヤホン
- ドライバー:10mm+6mmダイナミックドライバー
- 充電端子:USB Type-C
- 再生可能時間:最大12.5時間(イヤホン単体)/最大43時間(ケース込み)
- 充電時間:約2時間
- 通信方式:Bluetooth5.3
- 対応コーデック:SBC/AAC/LDAC
- マルチポイント対応
- ゲームモードあり
- 防水規格:IPX4
- サイズ:約61×28×45mm(ケース)
- 重さ:約6.5g(イヤホン片側)/約43g(ケース+イヤホン両側)
スペックで目を引くのは、バッテリー関連です。
本体単体でも最大12.5時間の再生に対応しており、バッテリー持ちが比較的良好。ケース込みでは最大43時間と、非常に長いです。2時間の充電時間でこれだけ持てば、日常生活で困ることはありません。
さらに、LDACに対応しているのも特徴的です。後ほど詳しく解説しますが、簡単に言えば高音質に対応しているということになります。
そして、マルチポイントに対応しているのも魅力的。
たとえば家でPCを使って音楽を聴いているときに、スマホから着信があってもそのまま対応できるのが便利です。
外観
SOUNDPEATS Engine4のケースのデザインは、非常にシンプルです。よくある楕円形のフォルムですが、角がより丸みを帯びているのがポイント。
さらに、光沢タイプで高級感もあります。
そして、ケースと本体のカラーリングも特徴的です。錆色という、イヤホンでは非常に珍しいカラーが使われています。年季の入った金属製品のような無骨なかっこよさがあるのが、いいところです。
そのうえ、等間隔にひし形の凹凸のある柄が刻まれているのも特徴。これと相まって、伝統工芸品のような印象を受けます。
付属品
- SOUNDPEATS Engine4本体
- USB-A to USB Type-C
- イヤーピース3サイズ(S/M/L)
- 取扱説明書
パッケージ自体に1万円未満とは思えないほどの高級感があり、そのうえ付属品も十分揃っています。不足感は全くありません。
イヤーピースが3サイズ付属しているのが、いいところです。どのイヤーピースも中心部分に厚みがあるタイプになっています。安価なイヤホンに付属するイヤーピースとしては、作りがいいです。
さらに、ノズルに合わせて標準的な長さであり、大きさになります。多くの人の耳にフィットするようなタイプです。
それだけに耳の穴の形が特徴的な人には合わない可能性がありますが、パッケージに含まれる内容としてはよくできています。
SOUNDPEATS Engine4の特徴
SOUNDPEATS Engine4のスペックや外観などについて、簡単に解説してきました。LDACに対応していたり、ドライバーが2基搭載されていたりと音質にこだわっているのがスペックだけでもわかります。
ただ、より詳しく解説するために、今度はSOUNDPEATS Engine4の3つの特徴について紹介するので、ぜひご参考ください。
同軸デュアルダイナミックドライバー搭載
SOUNDPEATS Engine4には、同軸デュアルダイナミックドライバーが搭載されています。
10mmのダイナミックドライバーは、低音域と中音域を担うパーツです。6mmは高音域を担っています。同軸にあるうえに振動版が分かれて配置されているため、干渉することがなく、役割がうまく分かれているのが特徴です。
同軸にあることで、中高音域の幅を広げられています。そのうえで低音をないがしろにしていないのが、いいところです。
独自のデュアルクロスオーバー技術搭載
SOUNDPEATS Engine4には、メーカー独自のデュアルクロスオーバー技術が搭載されています。
まず、前述のように10mmのドライバーと6mmのドライバーとが、異なる周波数帯域を担っているのが特徴です。
ただ、各ドライバーが担う帯域に若干の被りがあります。両方のドライバーが担当する帯域があることで、低音から高音までがスムーズに繋がるという技術です。
さらに歪みが少なくなり、音がクリアになるのもいいところ。各音域の分離感も、この技術でよくなります。
LDACに対応
本機は、LDACに対応しています。LDACとは高品質コーデックのこと。
Bluetoothコーデックというのは、音声データの圧縮方式のことです。音声データは、必ず圧縮された状態でイヤホンに届きます。
元あるデータを圧縮する際、その方法によって圧縮後の状態が異なるのがポイントです。LDACは圧縮後の音声データの状態が非常に良好なため、高品質コーデックだと言われています。
具体的には、ハイレゾ音源を高音質なままワイヤレスイヤホンなどで聴けるということです。
ハイレゾ音源を聴きたい際には、LDACに対応しているかどうかが非常に重要。もちろん、ハイレゾでなくとも音楽をより高音質で楽しむことを重視するなら、LDACに対応している機器を選ぶことが大事です。
SOUNDPEATS Engine4の良いところをレビュー
SOUNDPEATS Engine4の特徴について、紹介してきました。特徴を見るだけでも、本機の良さはある程度わかります。
ただ、音質についてはわかりません。そこで今度は、音質を重点に置いてSOUNDPEATS Engine4の良いところをレビューしていきます。
厚みのあるクリアな中音域
SOUNDPEATS Engine4は、中音域がクリアです。そのうえ、厚みもあります。二つのドライバーの役割が被っている部分もあり、その分の厚みが出ているという印象です。
中音域と言えば、ギターやボーカルなどの音の周波数帯域のこと。ギターにはしっかりとした迫力が生まれ、ボーカルにはツヤ感が生まれています。
1万円以下の価格帯のイヤホンは、低音と高音を強くしたドンシャリサウンドが多いです。そのなかで、中音をしっかり重視したクリアな音というのは比較的珍しい部類。
ギターが好きな人や、ボーカル曲をメインに聴く人にはおすすめしやすい音です。
低音は薄いもののバランスがいい
本機の低音域は、若干薄いという印象があります。
その分、癖がない鳴り方なのがいいところです。ストレートに音を鳴らしてくれるため、全体とのバランスが取れています。
SOUNDPEATSはもともと、低音の濃厚さに定評があるメーカーです。
Engine4では低音は薄く感じられながらも濃厚さが損なわれておらず、全体のバランスを取りに来たという印象。
SOUNDPEATSらしくもあり、クリアかつフラットな音に仕上がっています。
低音重視の方には不向きではあるものの、それが本機の弱点にはなっていない印象です。
高音は洗練された音
高音域は、非常に綺麗です。ほかの同価格帯のイヤホンと比べると派手さはなく、若干地味な音作りではありますが、音が綺麗なのが魅力となっています。
高音が不自然に強調された感覚は全くなく、自然と鳴るようなイメージです。それでいて、音が明瞭になっているのがすごいところ。
よく音の綺麗さを視覚的に表すのに、光の粒が舞っているような演出が音楽アニメなどで使われますが、本機はまさにその演出通りの音といったところです。
低域が薄くなっていることで、中音と高音の綺麗さと厚みがより強調されているように感じられます。
そして、全体的なバランスがいいフラット寄りな音質傾向に仕上がっているのがいいところです。
低音が好きな人というよりも、中高音が好きな人やフラットで綺麗な音が好きな人に合うイヤホンだと言えます。
分離感がかなり良好
SOUNDPEATS Engine4は、音の分離感が非常に良好です。
楽曲には、さまざまな音があります。たとえば一般的な4人バンドの場合、以下のような音の構成が多いです。
- ボーカル
- リードギター
- ギター(バッキング等ボーカル兼任)
- ベース
- ドラム
ギターボーカルの4人バンドで、音は5つあります。ここにコーラスが入ることも多いです。4~6つほどの音があるなかで、分離感が低いイヤホンだと全ての音を聞き分けるのが難しくなります。
本機は、全ての音がしっかり聴きとれるのがいいところです。
たとえばこれよりも音数が多い構成の曲でも、各パートの音をしっかり聞き分けられます。
分離感のいいイヤホンが役立つのは、リスニングだけではありません。ゲームをプレイするときも、足音と銃声とVCとをしっかり聞き分けられるので、プレイングが有利になるというメリットがあります。
操作性が良好
SOUNDPEATS Engine4は、同メーカーの製品群のなかでは操作性が非常に良好です。
本体操作は、タップにより行います。
- 再生/停止:LまたはRを2タップ
- 音量アップ:Rを1タップ
- 音量ダウン:Lを1タップ
- 次の曲:Rを1.5秒間長押し
- 前の曲:Lを1.5秒間長押し
音楽再生での操作は、以上の5種類です。再生と停止が2タップなのが、いいところ。本体をタップして操作するタイプのイヤホンでは、ふとした拍子に触れてしまって再生停止が暴発することがあります。
音量を1段階上げ下げするだけのほうが誤タップでの影響が少ないので、使いやすいです。
さらに、曲戻りができるのもいいところ。SOUNDPEATSは、曲戻りができないイヤホンも多いです。
他にも、以下のような操作があります。
- 電話を受ける/切る:LかRを2タップ
- 着信拒否:LかRを1.5秒間長押し
- 通話の切り替え:LかRを1.5秒間長押し(通話中)
- 音声認識アシスタント起動:Rを3タップ
- ゲームモードのオンオフ:Lを3秒間長押し
- 電源オン:1.5秒間長押し
- 電源オフ:10秒間長押し
誤作動したら困る機能は、全て長押しになっています。電源オフが長めに取られていますが、寝ころびながら音楽やASMRを聴きたいときには便利です。枕などに当たって電源が切れるということが、減ります。
これらの工夫のおかげで、全体的に操作しやすいです。
SOUNDPEATS Engine4の気になる点をレビュー
SOUNDPEATS Engine4のいいところについて、レビューしてきました。ここからは、気になる点についてもレビューしていきます。SOUNDPEATS Engine4が自分に合うかどうか見極めるために、ぜひご参考ください。
ノイズキャンセリングは非搭載
冒頭でも述べた通り、SOUNDPEATS Engine4にはノイズキャンセリングが搭載されていません。
ノイズキャンセリングは、近年非常に需要が高い機能です。1万円未満のイヤホンでも、近年は搭載している製品が多い傾向があります。なかには5000円程度のイヤホンにも搭載されることがあるので、あるのが当然だと考える人も少なくありません。
損な機能が非搭載なので、人によっては不満に思う可能性があります。
音質が非常にいいイヤホンが9000円程度の価格帯で購入可能なところに、本機の価値があります。そのコンセプトに共感できなければ、価値を感じにくい可能性が高いです。
通話時は若干声がこもって伝わる
本機はリスニング音質が非常に高いのですが、通話時のマイクの音質はあまり高くはありません。
自分の声が若干こもって、相手に伝わります。声質によってある程度の相性はあるので一概には言えないものの、相手に聴きとりにくいと言われてしまう可能性があるので注意しましょう。
ハンズフリー通話に関しては、おまけ程度に考えておくのがおすすめです。
ケースは指紋が付きやすい
SOUNDPEATS Engine4の専用充電ケースは高級感があっていいのですが、指紋が付きやすいのが難点です。光沢タイプで黒に近い色なので、仕方がないことではあります。
ただ、指紋は使い続けていると案外気になってしまうものです。こまめにメガネ拭きなどで拭く必要が出てきます。
本体は指紋がべったり付くことがあまりないので、よりケースの指紋が気になるのがネックです。
他のイヤホンとの比較
続いて他のイヤホンとの比較です。
今回比較したのは、上の3つ。Victorの「HA-FW1000T」と、SOUNDPEATS社の「Opera03」です。
まず音質的な比較をするとこの3つの中で最もクリアに聞こえるのがSOUNDPEATS Engine4に感じられます。
「HA-FW1000T」はマイルドで甘めのまったりとした音質、「Opera03」は楽しいドンシャリ系、そしてSOUNDPEATS Engine4は低音から高音まで綺麗に音を出す優等生といった感覚でした。
ドンシャリ系や甘ったるい音が好きなユーザーには物足りなさを感じますが綺麗な音を楽しみたいユーザーには間違いなく刺さります。
3つの中でSOUNDPEATS Engine4が最も安価ですが、音質的には対等に戦えます。
続いて装着感ですが、この3つのイヤホンのうちSOUNDPEATS Engine4が最も小ぶりで装着していることを忘れさせるほど良いフィット感があります。
大きなサイズのイヤホンは装着しづらいと感じる方にはSOUNDPEATS Engine4をぜひお勧めします。
機能性ではSOUNDPEATS Engine4はノイズキャンセリングや外音取り込み機能が無いため、他の二つに劣ってしまいます。
電車や外出時など周囲に音のある環境の中でイヤホンで音を聞きたいユーザーには使いづらさを感じることは否めません。
ただしマルチポイント接続可能と最大43時間のバッテリー性能は他のイヤホンにはない大きな魅力
ノイズキャンセリングは不要で良い音質を長く楽しみたい方、スマホを複数運用している方には強いメリットになります。
SOUNDPEATS Engine4はこんな方におすすめ!
- 高音質なイヤホンを安く購入したい方
- フラットかつクリアな音が好きな方
SOUNDPEATS Engine4は、ターゲットがハッキリとしている製品です。1万円未満の価格に抑えながら音質を良くするために、不要な部分は削っています。ノイズキャンセリングは付けるとコストが大きく上がるので、カットされているということです。
その分、マルチポイントに対応することで利便性を持たせています。
音質だけならより高額なイヤホンと比べても、聴き劣りしません。音質に特化したイヤホンを安く購入したい方には、非常におすすめです。
そして、本機の音質傾向はフラット寄りになっています。中音と高音がハッキリと聞こえるタイプで、低音は薄いものの聴きとりやすいというのが特徴です。全体的なバランスがよく、綺麗な音を鳴らします。
フラットかつクリアな音が好きな方には、おすすめです。
まとめ|音質全振り!音を楽しめるイヤホン
本記事では、SOUNDPEATS Engine4についてレビューしてきました。
販売価格が1万円未満という初心者向けの価格帯のなかで、限られたコストを全て音質に振ったかのようなイヤホンです。低価格かつ高音質は有線の独壇場だったのが、本機によってワイヤレスイヤホンにも選択肢が生まれました。
音質傾向の好みによる合うか合わないかという問題はあるものの、好みに合う方には非常にいい選択肢だと言えます。
エントリークラスの価格帯で、高級イヤホン並みの音を体験したいという方には特におすすめですよ。