配信や音楽制作機材として、オーディオインターフェイスを使う人は多いですが、そこにマイクプリアンプを加えればさらに快適な環境を構築できます。
PreSonus TubePre V2は、そんなマイクプリアンプとしてとても使いやすく、コスパが非常に高い製品です。10万円を超えるようなハイエンド機にも負けないほどの性能と機能が詰まっている真空管マイクプリアンプが、2万円程度で購入できます。
本記事では、そんなPreSonus TubePre V2についてレビューしていくので、気になる方はぜひご参照ください。
Presonus TubePre V2のスペック

- 真空管マイクプリアンプ:1ch
- ファンタム電源:+48 VFC,10mA
- 電圧要件:100-240 VAC,50-60Hz
- マイクインプット:XLR端子、ファンタム電源
- インストルメントインプット:1/4 TSアンバランス、インピーダンス:1MΩ
- アナログアウト:XLR/TSアンバランス
- アナログアウト最大出力:+20dBu
- アナログアウト出力インピーダンス:51Ω
- 12AX7搭載
- 電源アダプター:+12VDC,1A
- サイズ:H44.45mm×D139.7mm×139.7mm(W)
- 重量:2.27kg
以上が、PreSonus TubePre V2の簡単なスペックです。
本機最大の特徴のひとつが、真空管マイクプリアンプであるということ。真空管技術を使って、マイクから出力される弱い音声信号を増幅する仕組みです。
増幅に真空管を用いることにより、トランジスタやデジタル回路とは異なるサウンドになります。詳しくは後ほど紹介しますが、温かさと艷やかさが足されるのが真空管の良いところです。
人の声が、より人間味を帯びて聞こえるようになります。
さらに、PreSonus TubePre V2はサイズが程よいのも良いところです。

さまざまな入力端子とつまみやボタンを備えるのに必要なサイズがあり、大きすぎることはないというサイズ感が魅力的。

持ち運んで使うのにも、適しています。
そして、入力の充実度が高いのもPreSonus TubePre V2の大きな魅力のひとつです。
リアパネルには、アンバランス1/4インチインストゥルメント入力、バランスXLRマイク入力。そのうえ、アンバランス1/4インチ、バランスXLRライン出力まで備えています。

マイクプリアンプとして使うだけでなく、ギターやベースと組み合わせることも可能です。入力が充実しているということは、それだけ活用の幅が広いということでもあります。
値段以上の満足感が得られる可能性が高いです。
Presonus TubePre V2の良いところをレビュー
PreSonus TubePre V2には、スペックではわからない魅力がたくさん詰まっています。そこで今度は、PreSonus TubePre V2の良いところについてレビューするので、ぜひご参照ください。使い勝手や音の質感、機能性などについて言及していきます。
温かみがある音になる

真空管のメリットとして、音に温かみが付加されるという点がよく挙げられます。これは、PreSonus TubePre V2も同様です。
ハイエンド機ほどの濃い味付けではないものの、しっかりとした温かみを感じることができます。オーディオインターフェイスの付属プリアンプでは、なかなか感じられない人間らしい温かみと艶感があり、声を使った活動には最適です。
音楽はもちろん、雑談配信やポッドキャストなどでも使いやすいと言えます。
温かみを感じる声になることで、リスナーに親近感を抱かせやすく、距離を縮めやすいです。より好印象を持ってもらいやすくなります。
ギターやベースとの相性が良い
PreSonus TubePre V2は、ギターやベースと併せて使うこともできると評判です。筆者は使っていないものの、特にギターとの組み合わせが高く評価されています。
たとえば、接続機器によっては、ギターの高音に嫌な帯域が目立ってしまうことがありますが、PreSonus TubePre V2ではこれが目立たなくなると評判です。実際のところは検証できていないものの、ギターやベースも接続できるため、そのような使い方もできます。
マイク以外で使いたい方でも、問題ありません。
ダイレクトボックス(DI)としても使える
PreSonus TubePre V2は、ダイレクトボックスとしても使えます。
ダイレクトボックスというのは、エレキギターやベースなどの電子楽器をインターフェイスに直接接続するためのインピーダンス変換器のことです。
エレキギターなどから出力されるのは、インピーダンスが高い信号になります。
これを直接入力してしまうと、ノイズが発生したり高域が変に減衰したりしかねません。これを防ぐため、ダイレクトボックスを仲介して接続することで、インピーダンスを低くして入力信号を問題なく通るようにする必要があります。
このダイレクトボックスとしても使えるということもあり、先述のようにギターやベースで使うといった使い方も十分に可能です。
機能性が充実しているうえに操作が簡単

PreSonus TubePre V2は、機能性が充実しています。
シンプルに真空管プリアンプとして使うこともでき、ダイレクトボックスとして使うこともできる活用の幅の広さ。そのうえ、マイクプリアンプとしての機能が充実しているのが良いところです。
たとえば、デュアル・サーボゲイン・ステージ。
これによって、ノイズを大幅に増加させずに信号を増幅させられます。
さらに、ハイパス・フィルターやファンタム電源、極性反転やバックライト付きVUメーターも装備。低価格帯のマイクプリアンプとしては、破格の機能性です。
各機能の概要は、次の通り。
- ハイパスフィルター:特定周波数より低い信号を減衰する
- ファンタム電源:コンデンサーマイクの動作に必要な電源
- 極性反転:信号の波形を180度反転させる(複数マイクの音漏れなどの防止)
- VUメーター:平均音量レベルを表示する計測器
このように機能が豊富ですが、常に動作するような機能が多いです。
そのためか、操作は簡単になっています。初心者でも扱いやすいです。
持ち運びやすい

PreSonus TubePre V2は、比較的持ち運びやすいマイクプリアンプです。超小型というほどではないものの、大型とも言い難く、程よいサイズ感。重量は2kg近くありますが、配信機材や制作機材を持ち運ぶ方であれば、苦に感じることなく持ち運べる程度です。
さらに、ケースが非常に堅牢なのも持ち運びやすさの理由になっています。
持ち運ぶのに気を使いすぎる必要がなく、楽です。
圧倒的コスパの高さ
圧倒的なコスパの高さが、真空管プリアンプであることと並んで、PreSonus TubePre V2の最大の良さの一つになっています。
真空管プリアンプというのは、高価な製品が多いです。本機のような豊かな機能性を持っている製品であれば、安くても4万円程度はするのが一般的。
一方本機は、2万円程度で買えます。
同価格帯の真空管プリアンプを見ると、もっとシンプルな製品が多いです。機能を絞り、真空管の色味を付けることに注力しているような製品が一般的ななかで、ダイレクトボックスとしても使えたり極性反転ができたりと、機能が豊富。
10万円台の製品と比べても、大きく劣ることがありません。
これほどのマイクプリアンプを新品価格2万円程度で手に入れられるのは、非常にお得です。
Presonus TubePre V2の気になる点をレビュー
PreSonus TubePre V2の良いところについて、レビューしてきました。音が良く、ギターやベースと合わせた使い方もでき、機能性が豊富で高コスパ。魅力が非常に豊富な製品ですが、もちろん気になる点も一部にはあります。
そこで今度は、PreSonus TubePre V2の気になる点についてレビューしていくので、ぜひご参照ください。
真空管交換時にネジ穴が潰れやすい
PreSonus TubePre V2は、真空管交換時にネジ穴が潰れやすいです。
安価な真空管プリアンプは、真空管部分を交換して使うマニアも大勢います。特に本機は低価格で機能を詰め込んでいるためか、真空管の味付けはほかの製品と比べると薄味です。そこをもっと真空管らしくするため、ベースとして考えて真空管を交換するのも、おすすめの使い方。
ただ、交換時にネジ穴が潰れてしまうということがあります。
そのため、念の為にネジザウルスなどのネジ穴潰れ対策グッズを用意しておくのがおすすめです。
なお、交換手順は説明書にしっかりと書かれており、ネジ穴潰れにさえ気をつけていれば、初心者でも交換しやすいと言えます。
付属のゴム足が取れやすい

PreSonus TubePre V2は、付属のゴム足の粘着力が弱いです。
すぐ取れてしまうので、別途購入するのがおすすめ。
また、真空管は排熱問題があります。真空管はトランジスタの発熱が激しく、ほかのプリアンプよりも熱を持ちやすいです。この熱がほかの部品の寿命を下げることにもなってしまうので、熱の対策は必須だと言えます。
その熱対策のためにも、足は必須です。
熱対策としても使えるような足を別途購入すれば、外れにくくなり熱対策にもなって一石二鳥でおすすめ。
Presonus TubePre V2はオーディオインターフェイスとの併用もおすすめ

ここまで、PreSonus TubePre V2についてレビューしてきました。PreSonus TubePre V2のようなマイクプリアンプは、単体で使うのはもちろん、オーディオインターフェイスとの併用もおすすめです。
今度は、そんなPreSonus TubePre V2とオーディオインターフェイスを併用するメリットについて、紹介していきます。
ゲイン増幅に役立つ

PreSonus TubePre V2をオーディオインターフェイスと一緒に使えば、ゲイン増幅に役立ちます。
これは特に、ダイナミックマイクで重要なポイントです。ダイナミックマイクは、コンデンサーマイクより出力信号が小さくなっています。
そのため、オーディオインターフェイスと接続したとしても、製品によっては十分な音量を取れないケースが少なくありません。
たとえば本機と併用する方も多いUR22Cという高コスパのオーディオインターフェイスは、ダイナミックマイクの音量を十分に取れないという問題を抱えています。この問題を、PreSonus TubePre V2と併用することで解決できるのが良いところです。
プリアンプで音量を取り、オーディオインターフェイス側のゲインは低めに設定するということもできます。
音の色付けに役立つ
PreSonus TubePre V2とオーディオインターフェイスと一緒に使うメリットは、ゲイン増幅だけではありません。オーディオインターフェイス単体よりも、ノイズが抑えられたり音の色付けができたり、音質面のメリットもあります。
まず、ノイズについて。オーディオインターフェイス側のゲインを抑えられることによって、インターフェイスが由来となるノイズが抑えられます。よりクリアな音が録れるということです。
続いて、音の色付けについて。
真空管プリアンプは、音に温かみや艶を乗せられるというメリットがあります。これは、真空管を通すことで倍音が付加され、倍音によりアナログ的な質感が生まれるためです。
さらに、PreSonus TubePre V2のDriveノブを上げれば、真空管の効果を調整できます。低めにすれば自然な質感に、強くすれば硬質な質感にできるのも面白いところです。
ただ温かみを付けるだけではなく、その逆のサウンドも作れます。
そのうえ、オーディオインターフェイスのイコライザー機能とも併用すれば、より音作りの幅が広がるのが魅力的。
それぞれ単体では、このような色付けは少し難しいです。
Presonus TubePre V2はこんな方におすすめ!

- 真空管プリアンプを試してみたい方
- 改造用ベース機として探している方
- 声を使う活動をしている方
- 音楽制作や歌配信に使いたい方
- コスパの高いプリアンプを探している方
PreSonus TubePre V2は、以上のような方々におすすめです。
本機は真空管プリアンプとしては安価で、そのうえ比較的真空管のクセのようなものも弱めの機器だと言えます。真空管プリアンプを試すのに最適です。
そのうえ、機能性が豊かなので、真空管を交換して使うのを前提に購入するベース機としても使いやすいと言えます。
幅広い需要や用途に応えられるプリアンプです。
ただし、弱めとは言っても真空管の特徴は出ます。真空管の音が苦手という方には、おすすめしにくいです。
そこにだけは、注意しておきましょう。
まとめ

本記事では、PreSonus TubePre V2の良いところと気になる点についてレビューし、オーディオインターフェイスとの併用についても紹介してきました。
PreSonus TubePre V2は、UR22Cのような低価格帯・小型のオーディオインターフェイスとの相性が非常に良好です。どちらも低価格で、初心者が揃えるとしても予算を安く抑えられるうえに、どちらも価格と比べて高性能かつ高機能。
もちろん、PreSonus TubePre V2を単体で使ったりUR22Cではないオーディオインターフェイスと組み合わせて使ったりするのも、おすすめです。
声を使う活動をしている方で、真空管の音に苦手意識がなければ、それだけで購入をおすすめしたい優れた真空管マイクプリアンプだと言えます。