Elgato Facecam 4Kは、4K解像度に対応している高性能Webカメラです。
高画質かつ広角視野で、広く綺麗に映せます。専用ソフトウェアを使って露出やホワイトバランス、彩度などの調整も可能。ズームなどの画角設定もできます。
ただ適正な露出で撮影するには、きちんと照明を当てたうえで、シャッター速度やISOを手動で調整していく必要があります。(もちろんオート設定もありますが手動寄りのカメラです)
その為、Web会議に使えるちょっと性能の良いカメラという観点で購入してしまうと、想像していた映りにならないと後悔するケースもあるかもしれません。
本記事では、そんなElgato Facecam 4Kの良いところと気になる点を、実際に使って感じた印象も交えてレビューしていきます。
本記事はElgatoさまから製品提供を受け執筆しています
Elgato Facecam 4Kの基本的な仕様

まずは、Elgato Facecam 4Kの基本的な仕様について紹介していきます。本機の良いところと気になる点についてレビューする前に、スペックと同梱物について解説するので、仕様などが気になる方はぜひご参照ください。
Elgato Facecam 4Kのスペック

- 最大性能:4K@60fps
- HDR動画:最大4K@30fps
- 非圧縮映像:最大4K30/1440p60
- センサー:SONY STARVIS 2 CMOS
- レンズタイプ:Elgato Prime
- フォーカス方式:固定
- フォーカス範囲:30~120cm
- 絞り:f/4.0
- 視野角:最大90度
- Elgato Flash Memory:対応
- マニュアル露出:対応
- 色調コントロール:ファームウェアアップデートで対応予定
- 高度なノイズリダクション:調整可能
- プライバシーカバー:キャップ(アクセサリー)
- カラー:ブラック、カーボン、フォレストグリーン、ホワイト
- ソフトウェア:Elgato Camera Hubアプリ
- PTZ制御(パン、チルト、ズーム):対応
- シネマティックLUT(内蔵カラーグレーディング):対応
- 背景効果:対応(NVIDIA RTX GPUが必要)
- 顔追跡:対応(NVIDIA RTX GPUが必要)
- 対応OS:Windows/Mac
- 対応アプリ:Zoom/OBS Studio/Discordなど
- 接続タイプ(推奨USBポート):USB 3.0(またはそれ以降)Type-C
- Stream Deck:対応(Camera Hubプラグインが必要)
- Prompter:対応
- フィルター(Black Mist,Polarizerなど):対応(49mm)
- マウントポイント(モニターマウントなし):1/4インチネジ
- 本体サイズ:幅104×高さ54×奥行き52mm(マウント除く)
- 重量:112g(マウント・ケーブルを除く)
- マウント取り付け部:1/4インチネジ対応
- 対応フィルターサイズ:49mm
- USBビデオクラス規格:UVC 1.5準拠
以上が、Elgato Facecam 4Kのスペックです。
最大で、4K@60fpsの撮影に対応しています。高解像度かつ、滑らかな映像になるのが良いところです。Webカメラとしての用途であれば、十分すぎるほどの性能だと言えます。
HDRでは最大4K@30fpsで、滑らかさが犠牲になりますが、動きが少ない配信の場合は十分なフレームレートです。そのうえ、色再現性などが高くなるので、HDRの使用も十分視野に入れられます。
さらに、マニュアル露出に対応。
光の量を自分で完全にコントロールできるので、意図した明るさ・雰囲気を表現しやすくなります。照明環境が変わったとしても、一貫した明るさにできるのも良いところです。

また、性能が高いセンサーを採用しており、レンズの性能も高いので、基本性能が高いWebカメラだと言えます。
Elgato Facecam 4Kの同梱物

- Elgato Facecam 4K本体
- モニターマウント
- USB-C to USB-C 3.0ケーブル(着脱可能、200cm)
以上が、Elgato Facecam 4Kの同梱物です。
本体とマウント、ケーブルだけのシンプルな構成になっています。ケースなどは付属しないので、持ち運ぶ際には別途ガジェットケースやカメラケースを用意しましょう。
一般的なWebカメラと違い、マウントが着脱可能なのも良いところです。

マウントは1/4インチネジのため、付属マウント以外にも三脚などに取り付けることも可能です。
もちろんケーブルも着脱ができるので、好きなケーブルを使うことができます。

2mで長さが足りない場合などには、便利です。
Elgato Facecam 4Kの良いところをレビュー
ここまで、Elgato Facecam 4Kのスペックと同梱物について、簡単に紹介してきました。今度は、Elgato Facecam 4Kの良いところをレビューしていきます。使い勝手や性能などについて、詳しく知りたい方は、ぜひご参照ください。
4K@60fpsに対応しており高画質でなめらか

Elgato Facecam 4Kは、4K解像度で60fpsの撮影に対応しています。
素早い動きでも滑らかに表現できるのが良いところです。実写での料理配信やASMR配信など、実写での動きを重視するような配信では非常に便利。もちろん、PCを使ったレビュー動画撮影などにも使いやすいです。
さらに、HDRでは最大4K@30fpsに対応しています。60fpsと比較して動きは鈍くなるものの、コントラストを最適化できるため、色再現性を重視した撮影にも使えます。
これらを用途によって使い分けることができます。
なお、4K60pで撮影する際は、シャッター速度は1/120秒前後に設定するのが理想です。
動画はフレームごとに光を取り込んでいるため、フレーム数(60fps)に対してシャッター速度を倍にすると、動きの見え方が自然になります(いわゆる「180度シャッター」の考え方です)。
ただし、シャッター速度を速くすると、その分センサーが光を受け取る時間が短くなるため、映像は暗くなりがちです。
そのため、このカメラを本来の画質で使うには、照明をきちんと当てることが前提になります。
照明でベースの明るさを確保したうえで、ISOを必要な範囲内で上げると、ノイズを抑えながら立体感のある映像に仕上がります。
広角&暗所に強く使いやすい

Elgato Facecam 4Kは、広角視野を活かして部屋全体をしっかり映せるWebカメラです。
自分だけをクローズアップするのではなく、背景やデスク周りも含めて「画作り」をしたい場合に便利。
部屋やデスクをしっかりと映せるので、部屋を含んで動画や配信の画作りを行いたい場合や、配信の雰囲気や世界観を作りたい場合に使いやすいです。
ただ、広角の場合は部屋の映したくない部分まで映ってしまうことがあります。(わたくしです)

Elgato Facecam 4Kは、視野角最大値の90度を100%としたときに、27.5度・400%までクローズアップが可能です。さらに、カメラ本体を動かさずに、映したい範囲だけを上下左右に調整(パン / チルト)できます。
その為、余計なものが映ってしまう問題も構図づくりでカバーできます。
暗所については「自動で明るく補正してくれるタイプ」ではなく、光の当て方で映りが大きく変わるカメラという印象。照明をしっかり当てたうえで、露出とISOを手動で追い込んでいくと、一気に映像の質が上がります。

逆に、照明が弱い環境では暗く見えやすく、「高いのに思ったより暗い」と感じてしまう状態に。

その分、光をコントロールできる環境では、立体感のある映像や背景を活かした画作りがしやすいWebカメラです。

露出補正に頼るのではなく、きちんとマニュアルでシャッター速度とISOのバランスを自分で取ることで、光の質そのものをコントロールできるのが魅力です。
正しく照明を当て、シャッター速度やISOをしっかりと調整できた際に、Elgato Facecam 4Kの良さを感じられるはずです。
極端な例ですが、下のキャプチャーは夜中に照明をすべて消した状態で映してみました。

当然ノイジーな絵になりますが、ISOを最大値(25600)まで上げることで、被写体が分かるレベルまで映し出すことができます。
Elgato Prompterとセットで使える

Elgato Facecam 4Kは、Elgato Prompterとセットで使えます。
同社製品だけあって取り付けやすく、サイズ感もピッタリです。
Elgato Prompterは、カメラに取り付けて使えるプロンプター。カメラ目線のまま、原稿が読めるというアイテムです。ディスプレイを内蔵しているため、配信のコメント読みなどにも使えます。

そんなElgato Prompterと一緒に使えば、配信やPC前での動画撮影がより一層快適になるので、おすすめです。
そのうえ、Elgato Stream Deckとの連携にも対応しています。
Elgato Prompterとはじめとしたほかの同社製品とあわせて使うことで、より便利になるのもElgato Facecam 4Kの良いところのひとつです。
あわせてご覧下さい
Elgato Prompterレビュー! カンペにも拡張モニターにもなる汎用性の高い配信機材
49mmフィルターに対応していて一眼レフ感覚でも使える

Elgato Facecam 4Kは、49mmフィルターに対応しています。
49mmフィルターというのは、レンズのフィルター径が49mmのカメラ・レンズに取り付ける円形の部品のことです。一眼レフカメラなどで、よく使われます。
CPL/拡散/スターなど、写真用フィルターで意図した画作りができるのが大きな魅力です。
一眼レフカメラを持っている方にとっては、普段カメラで使っているフィルターが使えるのが良いところ。一眼レフカメラを所持していない方にとっても、動画や配信の画作りを撮影の段階からこだわることができるので、魅力的です。
Camera Hubでの手動調整・設定が便利

Elgato Facecam 4Kは、Camera Hubを使って細かな調整ができます。
たとえば、露出、シャッター速度、ISO、ホワイトバランス、LUT、PTZ(パン/チルト/ズーム)などをそれぞれ調整可能。もちろん手動で、露出を調整して十分な明るさを得ることも可能です。
設定が理解できれば、自動に任せるよりも、手動でISOやシャッターを調整した方が意図した映りに近づけます。

理想的な明るさ、コントラスト、画角、色調に調整して自分好みの画作りができます。
設定をカメラ本体に保存できる

Camera Hubで行った設定は、Elgato Facecam 4Kの本体に保存されます。
本体に設定が保存されるので、普段使っているのと違うPCで使う際に便利です。再設定をせずとも、いつもの設定で使えます。
もちろん環境が異なれば最適な設定も変わるので、場所によっては微調整が必要な部分はあるものの、すべて一から設定し直しにならないだけでも便利です。
自宅だけでなく、スタジオや出先のホテルなどさまざまな場所で使う予定がある場合には特に、便利な機能だと言えます。
圧縮なしで綺麗な映像を転送できる
一般的に、Webカメラの映像は圧縮された状態でPCに届くものです。映像データは容量が大きいため、小さくすることでスムーズに伝送できるようにしています。
| 対応解像度 | 映像エンコード形式 |
| 2160p60 | MJPG のみ |
| 2160p30 | NV12 / MJPG |
| 1440p60 | NV12 / MJPG |
| 1440p30 | YUY2 / NV12 / MJPG |
| 1080p60 | YUY2 / NV12 / MJPG |
| 1080p30 | YUY2 / NV12 / MJPG |
| 720p60 | YUY2 / NV12 / MJPG |
| 720p30 | YUY2 / NV12 / MJPG |
| 540p60 | YUY2 / NV12 / MJPG |
| 540p30 | YUY2 / NV12 / MJPG |
ただ、Elgato Facecam 4Kは、4K@30fpsまでは圧縮なしで映像をPCに伝送できるのが魅力的です。それでいて、遅延などは気になりません。
スムーズに伝送しながら、綺麗な映像を表示できます。
設置しても傾きにくい

Elgato Facecam 4Kは、カメラ自体を取り付けるというよりも、カメラの台座をモニターやノートパソコンに取り付けるというイメージに近い設置方法です。そのうえ、カメラは台座にしっかりと固定されます。
そのため、一般的なWebカメラよりも、設置時に横に傾きにくいのが良いところです。
ただ、しっかりと固定されているものの、上下の角度調整などはしっかりと行えます。傾きにくく、画角調整はスムーズです。
Elgato Facecam 4Kの気になる点/注意点をレビュー
Elgato Facecam 4Kの良いところについて、レビューしてきました。カメラとしての基本性能が高く、綺麗な映像を楽しめるのが良いところです。
一方で、気になる点もあります。
そこで今度は、Elgato Facecam 4Kの気になる点や注意点についてレビューしていくので、良し悪しの両方を知りたい方は、ぜひご参照ください。
マイクは別途必要になる

Elgato Facecam 4Kには、マイクが内蔵されていません。
Webカメラはマイクを内蔵しており、マイクがなくともビデオ通話ができる製品が多いです。
本機は、マイクは別途用意しなければなりません。
ただ、Elgato Facecam 4Kは配信や動画撮影用に使う人をメインターゲットにしています。動画撮影や配信では、カメラ内蔵のマイクではなく、外付けのマイクを使うのが一般的です。
マイクを敢えて内蔵させないことによって、コストをカメラとしての性能に割り振ることができているとも言えます。
USB 3.0 Type-Cでないと性能を発揮しにくい

Elgato Facecam 4Kを使用する際は、USB 3.0 Type-Cでなければ性能を発揮しにくくなってしまうので、注意が必要です。
最大性能の4K@60fpsは、データ容量が非常に大きくなってしまいます。大容量データの高速通信に向いている規格で接続しなければ、使えません。
USB 2.0では、フルHD(1080p)までしか出せないので注意しましょう。
とはいえ、USB 3.0 Type-Cケーブルが付属します。特に理由がないなら、付属ケーブルで使うのがおすすめです。
4K@60fpsはMJPEGになる
Elgato Facecam 4Kの最大フレームレートは、4K@60fpsです。
ただし、非圧縮(YUY2 / NV12)の伝送に対応するのは4K@30fpsまで。4K@60fpsで映したい場合は、MJPEG形式で圧縮された映像として送られます。
改めて、対応解像度ごとの映像エンコード形式は以下の通りです。
| 対応解像度 | 映像エンコード形式 |
| 2160p60 | MJPG のみ |
| 2160p30 | NV12 / MJPG |
| 1440p60 | NV12 / MJPG |
| 1440p30 | YUY2 / NV12 / MJPG |
| 1080p60 | YUY2 / NV12 / MJPG |
| 1080p30 | YUY2 / NV12 / MJPG |
| 720p60 | YUY2 / NV12 / MJPG |
| 720p30 | YUY2 / NV12 / MJPG |
| 540p60 | YUY2 / NV12 / MJPG |
| 540p30 | YUY2 / NV12 / MJPG |
MJPEGは動画を1枚1枚のJPEG画像の連続として扱う方式です。
- データが軽くなるため、4K60fpsのような高フレームレートを実現できる
- フレーム単位で編集しやすい
- 互換性が高い
といったメリットがある一方で、
- 色の情報が間引かれるため、後からの色補正には弱い
- グラデーションや肌の階調がわずかに粗くなることがある
という側面もあります。
さほど気にする必要はありませんが、動きの少ない配信であれば2160p30に設定して劣化を防ぐ、動きのある配信であれば2160p60に設定し動きの見せ方を優先するがベストな使い方になると感じます。
Elgato Facecam 4Kはこんな方におすすめ

続いてElgato Facecam 4Kをおすすめする人、おすすめしない人についてまとめます。
おすすめする人
- PCデスクでのガジェットレビューや作業配信を行う方
- メインは一眼で撮りつつ、固定視点のサブカメラを追加したい方
- 実写配信・実写動画を中心に活動している方
- Elgato Prompterと組み合わせて「カメラ目線」を強化したい方
- 49mmフィルターで画作りを工夫したい方
- 光の当て方や露出・ISOなど、自分で映りを調整していきたい方
おすすめしない人
- Web会議でとにかく映れば良い人
- 自動調整に任せたい人
- 照明を用意する予定がない人
- 設定を触りたくない人
本機はビデオ通話・Web会議用として考えるには、高性能・高設定仕様であり、設定を行うこと前提でなければ上手く映し出せません。
一般的なテレワーカーが「今すぐ映りを良くしたい」と思って購入するのであれば、1080pクラスの手軽なWebカメラの方が良い効果を得られるはずです。今どきWebカメラはカメラ側が自動で明るさや色味を整えてくれるモデルがほとんどで、そちらの方が扱いやすいです。
また、照明や周辺機材が整っていないと、このカメラの高性能を引き出すことはできません。明るさや画質を自動で整えてくれるタイプではないため、照明が弱い環境では「高価なのに暗い」と感じる可能性もあります。
Facecam 4Kは、環境を作り込める配信者や映像制作者のためのモデルです。
まとめ

本記事では、Elgato Facecam 4Kについてレビューしてきました。
Elgato Facecam 4Kは、Webカメラとしては値段が高めですが、それだけの性能と機能が詰まっており、コスパは悪くありません。照明や設定への理解が必要ですが、そこをクリアすると一気に化けるカメラです。
性能面でも4K@60fpsでの撮影ができたり、Camera Hubで細かく手動調整できたり、動画や配信の画作りをしっかり追い込めるのが魅力です。
使いこなせば、映像クオリティが上がるのはもちろん、撮影技術も高まります。
また、Elgato Prompterなどの同社製品との組み合わせも魅力的です。Elgato PrompterとElgato Facecam 4Kの両方を使えば、配信のクオリティと快適性をより高められます。
きちんと撮影環境が整っていることを前提に、カメラへのこだわりが強い方、実写動画を制作する方・実写系配信者の方には特におすすめです。

