PCモニターは、用途ごとに特化した製品があります。ゲーム性能特化のゲーミングモニター、クリエイター向けの性能に特化したクリエイターモニターなど。
今回紹介するASUS ProArt Display PA279CRVは、クリエイター向きの性能に特化したモニターです。
作業がしやすい機能が搭載されていたり、作業が快適な性能をしていたり本格的な仕様が魅力的。そんなASUS ProArt Display PA279CRVのどこがクリエイター向けなのか、どこが良いのかなどについて、これからレビューしていきます。
ASUS ProArt Display PA279CRVの基本仕様
レビューをしていく前に、まずはASUS ProArt Display PA279CRVの基本的な仕様について解説していきます。スペックや外観、付属品などについて紹介するので、気になる方はぜひご参考ください。
スペック
- パネルサイズ:27インチ
- 解像度:4K(3840×2160)
- 表面仕様:ノングレア(非光沢)
- パネルタイプ:IPS
- 視野角:178°/178°
- 画素ピッチ:0.155mm
- sRGB:100%、Adobe RGB:99%、DCI-P3:99%
- 輝度(HDR,ピーク時):400cd/㎡
- 輝度(標準):350cd/㎡
- コントラスト比(ダイナミック):3000:1
- コントラスト比(標準):1000:1
- 表示色:1073.7M(10bit)
- 応答速度:5ms(GTG)
- リフレッシュレート(最大)
- HDR対応
- フリッカーフリー対応
- 色温度選択可能
- ガンマ調整可能
- ProArt Palette対応
- PIP/PbP Technology対応
- VRRテクノロジー対応(Adaptive-Sync)
- ブルーライト軽減機能対応
- USB-C電力供給:96W
- チルト:+23°〜5°
- スイベル:+30°〜-30°
- ピポット:+90°〜-90°
- 高さ調整:0〜130mm
- VESAマウント:100×100mm
以上が、ASUS ProArt Display PA279CRVの基本的なスペックです。
解像度は、4K。表示領域は596.73×335.66mmと広いです。
27インチというサイズ感と4Kという解像度を活かして、広い画面で作業ができます。横に伸びるタイムラインを持つ動画編集ソフトや、画面内にさまざまな情報を表示するゲームエンジンなどさまざまなソフトウェアが使いやすくなるのが特徴です。
さらに、各種機能も充実しています。色温度を選択できるなど、色に対するこだわりが強いのを感じられるスペックです。
外観
クリエイター向けのモニターだけあって、ASUS ProArt Display PA279CRVの外観は非常にシンプルです。
下部ベゼルにはASUSのロゴが配置されていますが、あまり目立たないようになっています。ロゴが目立つのが苦手な方でも、安心です。
上部および左右ベゼルは狭く、27インチの画面サイズに対して本体が大きくなりすぎないように工夫されています。ベゼルが狭いと、同じ画面サイズでも画面がより見やすくなったり映像に迫力が出たりするメリットもあり、本機の外観上の大きな魅力です。
そのうえ、デュアルモニターなど複数モニター環境では、モニター間の継ぎ目が気になりにくくなります。
また、背面も非常にシンプルなデザインです。
ProArtというシリーズロゴがありますが、全く目立ちません。ゲーミングモニターのようなモールド加工などもなく、落ち着いたデザインです。
どこでも使いやすく、どのようなインテリアでも馴染みます。
付属品
- ProArt Display PA279CRV本体
- DisplayPortケーブル
- HDMIケーブル
- 電源ケーブル
- USB-Cケーブル
- クイックリリーススタンド
- キャリブレーションレポート
- クイックスタートガイド
- 保証書
ASUS ProArt Display PA279CRVの付属品は、以上の通りです。
ケーブル類が充実しているのが特徴。HDMIケーブルとUSB-Cケーブルを付属するモニターは近年増えていますが、DPケーブルまで付属するのは少し珍しいです。
DP接続はこだわる人向けのオプションという立ち位置にしている製品が多いなか、最初から付属するのが嬉しいポイント。本機が、最初からこだわるクリエイター向けに作られているのがよくわかります。導入にあたり、追加購入をする必要がなく本製品の性能を最大限活かせるのが大きな魅力です。
また、キャリブレーションレポートも付属しています。
これは、出荷時にキャリブレーションが行われた証です。キャリブレーションで実際何を行うかは工場などによって変わりますが、多くの場合は色域ごとの色味の精度の調整、色温度の調整などのこと。基本的には、色に関する精度を高めているということです。
これがしっかり行われ、色の精度の高さが認められたということの証明になります。箱から出した後、難しい調整を必要とせず、そのままでも使えるのがよいところです。
ASUS ProArt Display PA279CRVの良いところをレビュー
ここまで、ASUS ProArt Display PA279CRVのスペックや付属品などについて、簡単に解説してきました。今度は、本機の良いところについてレビューしていきます。どのようなところに魅力があるのか、性能の良さなどについて詳しく知りたい方は、ぜひご参考ください。
高色域なIPSパネルで画面が鮮やか
ASUS ProArt Display PA279CRVは、高色域なIPSパネルを採用しています。一般的なIPSパネルと比べて、表示できる色が多いのが特徴です。
色域を定めている規格は複数ありますが、どの規格でも99%以上をサポートしています。DCI-P3を99%サポートしているというモニターは、そう多くはありません。多くの色を表現できるので、映像やイラストの色味を正確に再現できます。制作をする場合でも、自分がユーザーとして楽しむ場合でも、非常に魅力的です。
画面が鮮やかに見えるのも、よいところ。
コントラスト比は標準では、IPSパネルとしては一般的な部類ですが、色域が広いため画面が鮮やかにくっきりとして見えます。
ただし、sRGBを想定して制作された作品を表示すると、元のイラストよりも彩度が高く表示されることには注意が必要。彩度が高いほうが一般的にはよいとされているので、ユーザーとして楽しむ分にはあまり問題になりませんが、意図した色通りで表示されるべきと考えるクリエイターにとっては少し注意が必要です。
逆に、この環境を想定してイラストを制作すると、一般的なsRBG色域にとどまるモニターでは彩度が低くなることもあります。
ただ、この点は、単純な良し悪しではなく、単純個人の好みの範囲です。
程よいサイズ勘の4Kで作業もゲームも快適
ASUS ProArt Display PA279CRVは、27インチの4Kモニターです。
4Kは32インチなど、大きなサイズを使うのが一般的。表示ドット数が多く表示領域が広いので、ある程度の画面の大きさがなければアイコンや文字が小さく表示されてしまうのが理由です。
ただ、27インチであれば、アイコンや文字がそれほど小さくなりません。視認性を確保しながらサイズを落とそうと思ったときに、最も程よいのが27インチです。
置き場所にあまり困ることなく、作業もゲームも快適に行えます。
調整機能と画面補助機能が多くて便利
ASUS ProArt Display PA279CRVには、調整機能と画面補助機能が多数搭載されています。
まず、ProArtプリセット機能。これは、色域を管理できる機能です。sRGB、AdobeRGB、DCI-P3など各規格に合わせたプリセットが登録されています。色域に敢えて制限をかけることで、前述した彩度の問題をクリアできるのがよいところです。
もちろん、各規格に合わせて色温度やガンマなどのキャリブレーションも出荷時に行われています。
さらに、暗部補正機能のBlack Levelを搭載。暗い部分を少し明るく補正できる機能で、10段階で調整が可能です。映像視聴時などに、画面が暗すぎて見えづらいと感じたときに使えます。
ほかにも、以下のような機能を搭載。
- Saturation:彩度を100段階で調整可能
- 色温度選択機能:色温度を4段階で調整可能
- QuickFit Plus:画面上に補助線などを表示する機能
- ガンマ調整機能:ガンマ値(画面の明暗)を調整できる機能
- ブルーライトカット機能:6段階で調整可能
クリエイター向けモニターなだけあって、色関係の機能が豊富です。そのうえ、中央に照準線を表示したり画面を左右反転したりできる画面補助も搭載されています。普段使いやゲームでは使うことがありませんが、制作時には便利な機能です。
Type-C 96W給電でノートPCでも使いやすい
ASUS ProArt Display PA279CRVは、USB Type-Cを使った96W給電に対応しています。
近年は、Type-C給電可能なモニターが増えていますが、一般的には65W程度が相場です。一般的なノートパソコンや、ゲーム機を接続する程度なら65Wという出力でも問題ありません。
ただ、クリエイターが使うような性能の高いノートパソコンでは不足するので、96W給電に対応しているのは魅力的です。それだけ、使える機器の幅が広くなります。メインPCをDPケーブルなどで接続し、サブPCで使う際にはType-Cだけで接続できるのが非常に便利です。
無料3年保証で安心して使える
ASUS ProArt Display PA279CRVには、無料の3年保証が付きます。
メーカーの無料保証だと、1年から2年が一般的です。近年は延長される傾向にありますが、それでも本機を選ぶ際の利点のひとつだと言えます。
モニターは、1年か2年で壊れる製品ではありません。パソコンと比べると丈夫で寿命も長いので、2年程度のメーカー保証だと初期不良でしか使わないということがよくあります。
ただ、使い方によっては3年でもバックライトなどに不具合が出ることがあるので、メーカー保証が3年間ついているのは安心です。
クリエイティブユースでのコスパが圧倒的に高い
クリエイター向けのモニターは、総じて高いです。フルHDでは安い製品も多いですが、4Kとなると10万円を越えてくるのが当たり前の市場になっています。
もちろん、高価な製品にはそれだけの性能と機能がありますが、本機は比較的安価にも関わらず高性能かつ高機能なのが魅力です。
Amazonでの販売価格は、約7万2000円。一般的なモニターと比べると十分高級モニターだと言える金額ですが、これだけの性能と調整・補正機能を備えてこの価格は安いです。
クリエイティブユースでのコスパは、圧倒的に高いと言えます。
ASUS ProArt Display PA279CRVの気になる点をレビュー
ここまで、ASUS ProArt Display PA279CRVの良いところについてレビューしてきました。高性能かつ高機能で、クリエイターにとってはコスパが高い本機ですが、もちろん一部気になる点・注意点があります。
そこで今度は、ASUS ProArt Display PA279CRVの気になる点についてレビューしていくので、ぜひご参考ください。
ゲーム向きの機能は少ない
ASUS ProArt Display PA279CRVには、ゲーム向きの機能があまり搭載されていません。ゲームに特化しているような機能は、皆無と言っても差し障りがない程度です。
近年はクリエイター向けと言いつつ、ゲーム向きの機能と性能も備えるモニターが多くあります。それらと比べると、どうしても見劣りする部分はあるものの、それらの性能と機能を備えれば値段が高くなってしまうのがネックです。
本機は、あくまでもクリエイター向けとして割り切ってつくられています。
また、ゲーム向きではないと言っても、あくまでFPSやTPSを遊ぶには不向きという程度です。RPGやオープンワールドのゲームなど、一人プレイの作品を遊ぶには十分な性能をしています。
クリエイティブな作業をメインの用途にしつつ、息抜きで一人用ゲームを遊びたいという方にはおすすめです。
応答速度はあまり速くない
ASUS ProArt Display PA279CRVがFPSやTPSで使いづらい一番の理由が、応答速度です。
リフレッシュレートは、4K60fps。リフレッシュレートだけで見ると低いですが、4Kモニターとしては一般的な部類です。ゲーミングモニターでも、4Kでは60fpsしか出ないものの解像度を下げるとリフレッシュレートが上がるという製品があります。
それよりも、応答速度が遅いのがゲームでは気になるところ。近年はIPSパネルでも1msという応答速度を誇るモニターがありますが、本機はあくまでも色性能重視でパネル選びをしている印象です。
色性能重視のIPSパネルを使っているため、IPSパネルの弱点である応答速度の遅さがそのまま出ています。5msという応答速度は、作業時や一般的な用途では気になりませんが、対人戦要素のあるゲームでは気になる人も出てくるので、注意が必要です。
ASUS ProArt Display PA279CRVはこんな方におすすめ!
- イラスト制作や動画制作などをするクリエイターの方
- 作業向きのモニターで高コスパな製品を探している方
- 映像視聴やグラフィック重視のRPGなどに使いたい方
- 対人ゲームで使う予定がない方
ASUS ProArt Display PA279CRVは、以上のような方々におすすめです。
本機はクリエイター向けのモニターなので、クリエイターには当然おすすめ。色性能が高いので、イラスト制作や画像編集・動画制作などを行う方には特に向いています。ゲームクリエイターでも、エンジンによっては性能を活かせる機会は多いです。
さらに、単純に映像視聴やグラフィック重視のRPGなど、コンテンツを楽しむためのモニターとしても優秀です。色性能が高いので、それらのコンテンツとの相性は抜群。比較的安価なこともあり、クリエイターでなくとも高性能なモニターを探している方にはおすすめできます。
まとめ|クリエイターに最適な「色」重視のモニター
本記事では、ASUS ProArt Display PA279CRVの性能と機能についてレビューしてきました。
クリエイター向けモデルだけあって、性能は非常に高いです。色性能は特に高く、色を重視して作られたモニターなのがよくわかります。色域の規格に合わせて色域に制限がかけられる機能など、クリエイターにとっては使う機会の多い機能も多数搭載されており、使いやすいです。
色重視で使いやすく、高コスパなモニターを探している方は、ぜひ検討してみてください。